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2017年6月16日 (金)

TOPICS : ”発症予防・重症化予防をめざして” ①

 花田信弘(鶴見大学歯学部教授)さんの研究文をコピー・ペー:
 近年の歯科治療学においては、Minimal Intervention(最小の侵襲)の概念が普及しているが、根管の治療のために大きく切削し、天蓋除去をして根管口を明示することは許されている。根管口明示はその歯の予後改善のために必要、そのための切削は「必要悪」だから。病巣をタービンやメスをもって切除することは、歯科医学の中で確固たる地位を占めている。しかし、若い歯科医師が夢を持って外科的切削技術を極めても、この切削治療に歯科の未来を託すわけにはいかない。タービンやメスが患者にとってみれば本当に好ましくない医療器材だからである。予防歯科や日常の生活習慣の改善によって、あるいは唾液検査技術やDental Drug Delivery System(3DS)など新技術の登場によって患者に恐怖を感じさせる侵襲的な治療方法はかなり狭い範囲に限定してくるだろう。では、口腔疾患はブラッシング、フロッシング、PMTC、フッ化物、抗菌薬、ワクチン、3DSなど予防歯科の技術が本当に予防できるのだろうか。なぜ、予防方法が分かっていても口腔疾患は繰り返し発生するのか。このような疑問に答え、歯科医療の未来が何処にあるのかを探索するのがこの文章の目的である。
1 . 予防医学の登場
 偉大な細菌学者・北里柴三郎は、東京医学校(― 東京大学医学部)に在学中から、「医者の使命は病気を予防することにある」と確信し、予防医学を彼の生涯の仕事としたことが資料(北里研究所)にある。発症予防学は、北里ら細菌学者によって早くも19c. に登場。当時は、急性感染症で亡くなる人が多い時代である。現在では急性感染症はワクチン開発と抗菌薬の発見で制御可能になった。しかし、感染症の中には、ワクチンと抗菌薬での制御困難な疾患がある。それは、歯科医師が担当しなくてはならないバイオフィルム感染症である。既に形成されたバイオフィルムを、ワクチンと抗菌薬で制御することは理論的に不可能である。
 ワクチンと抗菌薬は、バイオフィルムの形成阻害には有効だと考えられる。したがってワクチンと抗菌薬の開発研究は歯科医療でも必要であるが、既に形成されたバイオフィルムに対しては、メカニック除去(機械的物理的な力)が先行していなければ、薬剤の効果を期待することは難しい。そこで抗菌療法が必要と考えられる症例の場合、日本歯周病学会では「スケーリング・ルートプレーニング(SRP)完了の日から(抗菌薬の)服用開始」することを推奨している。
 人類が微生物に富んだ地球環境で生活すれば、バイオフィルムは環境に隣接する身体のあらゆる界面で普遍的に形成される。特に人体の「内なる外」と表現される消化管では温湿条件や栄養条件が微生物の生息に適しているため多数の常在菌が生息している。従って、医療者は微生物が、内外の界面にバイオフィルムを形成することを常に推定しなければならない。このことから人類とバイオフィルムを形成する微生物の戦いは永続的に繰り返される。口腔の内面を覆う粘膜は、重層扁平上皮と粘膜固有層とで構成。重層扁平上皮は基底層で新生した後2週間かけて上層に移動し、さらに表面で約2週間とどまり、剝がれ落ちる。





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