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2017年7月25日 (火)

認識システムの最先端 第3回 ①

”人間と科学” 第278回 梅崎太造(名古屋工業大学教授)さんの3回目の研究文 :コピー・ペー。

■バイオメトリクスに関する研究開始

 1990/02/04、名古屋大学の助手を辞め、中部大学に着任した。初めて自分の研究室を構え、学部4年の卒業研究生を指導することになった。それまでの研究テーマは、音声合成と音声認識に関するものであったが、当時の学生の大半が画像処理に関するテーマを希望した。テーマ発掘で悩んでいたとき、1989年辺りから、日本における窃盗犯罪件数の増加に伴い、その検挙率が急激に低下して来たという記事を目にした。一時は60%程度だったものが間もなく25%まで低下するという内容だった。この記事がきっかけとなり、人の入退室管理を目指したセキュリティに関する研究テーマとして、個人の身体的特徴を認証に用いるバイオメトリクスの研究に着手することになった。一口にバイオメトリクスと言っても、指紋・顔・掌紋・虹彩・DNA・声 等が挙げられるが、最終的な認証装置の形を考えたとき、小型化、安価、高速性、記憶量、データセンシングの難易度等を考慮した結果、指紋画像を用いた指紋認証の研究を最初にスタートした。

■らしさの研究

 指紋画像にスペクトル分析を用いて特徴抽出する米国文献を頼りに、1年間2次元フーリエ変換を用いた指紋認証アルゴリズムの研究に取り組んだが、なかなかうまくいかず行き詰まっていた。指紋画像を印刷した用紙を自宅に持ち帰り、しげしげと眺めていたとき、3歳の長男がいきなり「しもんしもん」と発声した。今になって考えてみれば、毎日のように指紋画像を眺めていた私(梅崎)の様子とつぶやきを見聞きしていたため、自然に発したのだろうが、そのときはなぜこんな小さな幼児でも指紋と分かるのかが驚きであった。悩んだ結果、私(梅崎)が出した答えは、「指紋画像=指紋らしさ+個人性」という線形な関係式である。指紋画像から指紋らしさを引いたら個人性が得られるという、小学生なみの発想だ。もちろん、これらの関係は、複雑な非線形関係にあり、前式は成り立たない。しかしながら、もしある高次元の空間で、「指紋画像≒指紋らしさ+個人性」に近い分析ができれば、個人性を今までよりも抽出できるのではないかと考えた。

                                                <続く>




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