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2017年7月31日 (月)

Science 歯科医療におけるCT・MRIの基礎・臨床 ⑤

続き:
4. DICOM(ダイコム)データの意味と取り扱い時のポイント
 DICOMは、Digital Imaging and Communication in Medicine の頭文字である。CTやMRI、デジタルエックス線検査など、医療では様々なデジタル画像が用いられるようになり、各装置のメーカーやモダリティの違いで画像のフォーマットが異なっていた。しかしながら、病院間で画像の取り扱いに混乱が起こるため、米国放射線学会(ACR)と北米電子機器工業会(NEMA)が、メーカーやモダリティの違いによるトラブルが生じないようにするため、医用画像の標準規格をDICOM とした。
 DICOM 規格は医療用デジタル画像のフォーマット(画像規格)と、患者情報をやり取りするための通信プロトコール(通信規格)の両者を定義したものであり、単なるデジタル画像の規格ではないことに留意すべきである。DICOM データは通信をするための情報、患者の氏名や年齢、撮影装置や検査した日時、検査した病院名等、様々な個人情報が含まれている。よってDICOM データは個人情報であるという明確な意識を持って取り扱うことが大切。
5. 顎口腔領域へのCTの臨床応用
1) インプラント術前検査へのCT臨床応用
 インプラントCT検査時の画像診断は必修である。ガイドサージェリーやCAD/CAM 応用のためだけに、被曝を伴うCT検査は許されない。欧米では検査後においても、CT検査時の病巣の見逃しによる訴訟等、矯正やインプラント治療への適正なCT利用が問題になっている。CT検査は目的に応じた正確な画像診断を行った後に、インプラントのガイドサージェリーやCAD/CAM への応用を検討すべきである。インプラントのガイドサージェリーやCAD/CAM のためだけに被曝を伴うCT検査は決して行うべきではない。また、インプラントのCT検査は正確な画像診断が必定であることを常に日常臨床で心がけるべきであること。
 松戸歯学部放射線科は歯科開業医からの外部CT検査依頼を2006年の新病院から毎年1000件以上受け、現在外部依頼のインプラントCT検査だけで12000件以上のCTデータを所有。本学インプラントCT検査はCT画像と共に画像診断報告書も添付し、必要に応じて依頼された開業医へのコンサルテーションも行っている。特筆すべきは、本学の全インプラントCT検査数の約15%に、治療対象のものから経過観察で済むものまで、何らかの疾患を有していた。よって、検査件数が多い歯科医院では何らかの疾患に遭遇する可能性が高いことも留意すべきこと。
2) インプラントの術前CT検査のポイント
 CTによるインプラント埋入治療計画は、①埋入部位の骨形態、骨高径や骨幅、②下顎においては、下顎骨までの距離は下顎骨から最低2mm離し、オトガイ骨からは近心方向は5mm離し、解剖学的な折り返しに注意する。上顎においては上顎洞に近接するインプラントでは、上顎洞自然孔の閉塞状態、後上歯槽動脈の位置や走行、上顎洞の隔壁の位置等をCT検査にて正確に把握する必要がある。また加齢変化にも注意して画像診断をする必要がある。
3) CTシミュレーションの基礎:CTのボリュームデータについて
 CTのスライスデータが多数集まると「ボリュームデータ(Volume data)」と呼ばれる。このボリュームデータを操作して3次元像を作成してシミュレーションや観察断面を抽出する。CTのボリュームデータを構成する多数の直方体を「ボクセル(Voxel)」と言い、ボクセルと同じもので正方形をっしているが、立方体のZ軸方向(頭尾方向)のサイズは画像の再構成間隔に依存する。
 通常、観察としての再構成スライスは後から元画像を再構成する際に決定。薄いスライスを用いると構成されるボクセルを立方体にすることができ、水平面とZ軸方向の分解能が等しくなる。これを「等方ボクセル(Isotropic voxel)」と呼び、これらの集まったボリュームデータを「Isotrophic volume data」と呼ぶ。CTの性能が向上し、「Isotrophic volume data」あるいはそれに近いボリュームデータを扱うことが多くなってきた。
4) CTシミュレーションの基礎: VR(ボリュームレンダリング; Volume rendering)
 3次元の構造を2次元の平面に表現する技法を rendering といい、通常、広義のVRはボクセル値(ボクセルのCT値)を持ったボリュームデータをそのまま画像表示することをいうが、インプラントCTシミュレーションで用いられる VR は狭義の VR であり「各ボクセルにCT値に応じた色調や濃淡と不透明度を与えて表示する」方法をいう。この VR は立体感に優れ、全体像を把握し、物体の前後関係を理解するのに最適な方法である。この方法は色の変化をつけて構造物の区別が容易にできるのも特徴である。





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