« 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ① | トップページ | 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ③ »

2017年8月17日 (木)

東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ②

続き:
2 意見差控のわけがある
 東芝が2017年4月11日に開示した2016年12月第3四半期報告書、及び、2017年5月15日に公表した「2016年度通期業績の見通しについて」と題する財務資料により、東芝の連結損益計算書と連結資本持分を、2016年3月期、2016年12月第3四半期、2017年3月期の三期対比形式で示すと次の様になる(表 略 後で)。
 この中の2016年第3四半期財務諸表に対して、PwCあらた監査法人の意見差控報告書が添付されているのであるが、PwCあらた監査法人の記載した「結論の不表明の根拠」及び「結論の不表明」は次の通りである。
 結論の不表明の根拠
 注記21. 重要な後発事象の通り、米国ウェスティングハウスエレクトリックカンパニー社(以下、「WEC」という)による、CB&I ストーン・アンド・ウェブスター社の買収に伴う取得価格配分手続の過程に関連して、一部経営者による不適切なプレッシャーの存在を示唆する情報がもたらされた。株式会社東芝の監査委員会は、外部弁護士事務所等を起用して、一部経営者による不適切なプレッシャーの有無及び会計への影響等に係る調査を実施した。当監査法人は当該調査の評価を継続中であり、本四半期レビュー報告日現在終了していないが、株式会社東芝は第3四半期連結財務諸表を作成し、提出することとした。
 継続中の評価の対象事項には、注記19.  企業結合に記載されている、2016年度第3四半期末における四半期連結貸借対照表計上額495,859百万円の前提となる取得日現在の公正価値635,763百万円の工事損失引当金について、当該損失を認識すべき時期がいつであったかを判断するための調査に対する当監査法人の評価も含まれている。また、その他にも等々監査法人の評価が終了していない調査項目があり、これらの影響についても、確定できていない。
 四半期レヴュー報告書日現在、当該評価手続が継続中であり、当監査法人は、株式会社東芝の監査委員会による最終的な調査結果を評価できておらず、その結果、当監査法人は、上記の四半期連結財務諸表に修正が必要となるか否かについて判断することができなかった。
 結論の不表明
 当監査法人が実施した四半期レビューにおいて、上記の四半期連結財務諸表が、「結論の不表明の根拠」に記載した事項の四半期連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響の重要性に鑑み、株式会社東芝及び連結子会社の2016年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する第3四半期連結累計期間の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示していないと信じさせる事項がすべての重要な点において認められなかったかどうかについての結論を表明しない。
 この意見差控報告書を読むと、PwCあらた監査法人が、ストーン&ウェブスター(以下、S&W)の買収に伴う6357億円の追加原価の期間帰属を問題としていることが分かる。東芝は、WECを通して、2015年10月27日付でS&W社を買収している。買収価格は0ドルなので、追加原価6357億円はS&Wの追加の簿外買収価格、即ち、無価値の「のれん」となり即時減損される。
 東芝は、2016年12月第3四半期決算において、S&Wの追加原価6357億円に、それ以外の「のれん」809億円の減損を加えて、合計7166億円の「のれん減損損失」を計上した。ちなみに、東芝は追加原価6357億円を連結貸借対照表の負債項目たる工事損失引当金として計上したが、その後時間の経過とともに引当金は確定債務となって支払われていき、その2016年12月第3四半期末の引当金残高が4958億円となった。この金額が、PwCあらた監査法人の「結論の不表明の根拠」において参照されている。





« 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ① | トップページ | 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ②:

« 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ① | トップページ | 東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ③ »