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2017年8月24日 (木)

東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ⑧

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 ところで、『世界』2017年3月号において、東芝とCB&Iには、S&Wの買収時正味運転資本をめぐる争いがあることを指摘した。しかし、東芝の公表した2016年12月第3四半期報告書によれば、その後CB&Iは、その主張する正味運転資本超過額42800万ドル(472億円)の請求債権につき訴訟を提訴した。訴訟の結果次第では、東芝に472億円の支払義務が生じる。
 そして最後に、WECのチャプター11申請後の追加債務の発生がある。米国政府はWECの手掛ける米国30年ぶりの新規原発プロジェクトについて、83億ドル(9500億円)の融資保証にコミットしている。WECによる米国連邦倒産法申請により、米国国民の税金が、回収の可能性のないまま再生WEC救済のため投入されかねないのである。
 ここで、世耕経産大臣は2017年3月中旬に米国を訪問し、WECによる米国連邦倒産法の申請につきお伺いを立て、その了解を得ている。日本政府は、米国政府の了解がなければ、東芝子会社の米国連邦倒産法申請をさせられなかったのである。ここで世耕大臣が米国政府に約束させられたのは、①チャプター11の下で、米国政府の融資保証83億ドルが支払われないこと、②再生WECにおける米国民の雇用が損なわれないこと、の2点だったはずである。
 さて東芝のWECに対する支払保証は7935億円であった。米国政府の融資保証は83億ドル(9500億円)である。問題は米国政府融資保証中、東芝の支払保証でカバーできない部分がいくらあるかということであるが、その差額が1565億円(9500億円ー7935億円)以上であることは確実だ。しかし、最悪の場合、東芝の支払保証は米国政府融資保証と重複していない可能性もありうるわけで、その場合には、東芝は米国政府融資保証83億ドルを丸々負担しなければならない。
 まだある。WECがニューヨーク州の合衆国破産裁判所に提出した連邦倒産法第11条申請書によれば、WEC及び下請け企業の従業員の雇用及び給与は完全に維持されることになっている。倒産会社におけるこのような大盤振舞いの雇用費用も、結局は、東芝が負担しなければならない。
 さらに東芝は、WECで現在進行中の8基の原発プロジェクトについて、あらゆるコスト削減施策を講じてリスクの低減に努めるなどというのであるが、その進行中の8基は、中国、インド、英国の原発プロジェクトだ。中国政府が、東芝が生き残っているにもかかわらず、「WECが米国連邦倒産法第11条の申請を行ったので原発の追加原価が支払えません」などと戯言を承知するものであろうか?
 東芝が生き残っている以上、東芝がWECの追加債務から逃れるためには少なくとも5000億円程度の手切れ金を支払わなくては済まないと考えるべきであろう。以上から、請求額を集計すると、東芝の今後予想される追加損失は最低9933億円、最大2兆2908億円という結論を得る。





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