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2017年8月20日 (日)

東芝はどこへ―日本の原子力行政の破綻 ④

続き:
4― 1 口が裂けても言えない。
 東芝は、2015年7月に発覚した1562億円の不正会計問題を受けて、それまでの新日本監査法人を解任して、PwCあらた監査法人に2016年4月1日以降開始する事業年度の監査を委嘱した。東芝とすれば、PwCあらた監査法人に対して従順にならざるを得ない力学関係にあるが、その中で、PwCあらた監査法人の主張する6357億円の期間帰属だけはどうしてものめないという。
 私(細野)は、当初、6357億円の追加原価を2016年3月期決算に計上してしまうと、同期末の東芝の連結株主資本は3289億円なので、東芝は、2016年3月期末においても3068億円(3289億円ー6357億円)の債務超過となり、2017年3月期末の5400億円の株式資本債務超過と併せて、二期連続債務超過が確定して即時上場廃止となってしまうからではないかと推定したのではあるが、これは違う。
 東京証券取引所の上場規則によれば、確かに二期連続債務超過の場合には上場廃止になる規定があるがここで二期連続債務超過としているのは、上場会社が債務超過となった場合に1年間の執行猶予期間を与えることを目的としたもので、本件のように過年度決算の修正を行ってその結果二期連続債務超過となる場合には、制度の趣旨に鑑み、更にもう1年の執行猶予期間が与えられる。すなわち、東芝がPwCあらた監査法人の指摘を受け入れて2016年3月期の有価証券報告書の訂正報告書を出したところで、東芝が直ちに上場廃止となることはない。
 私(細野)は、東芝抵抗の理由は、ここでの6357億円の追加原価の発生が、追加原価の認識と連動して考えられていることが原因ではないかと思う。そもそも6357億円の追加原価は、S&Wの買収日時点における追加原価の公正価値として算出されたものなので、この追加原価がS&Wそ買収した2015年10月27日時点で発生していたものであることは異論の余地がない。
 しかし、問題は、東芝がこの巨額の追加原価を買収時に認識していたかどうかであり、仮に、認識していたということであれば、本件6357億円の追加原価は東芝経営陣による特別背任罪を成立させてしまう。特別背任罪は、組織運営に重要な役割を果たしている者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は組織に損害を加える目的で、その任務に背く行為をして、当該組織に財産上の損害を加えた時に成立する(会社法第960条から第962条)。
 追加原価の存在を認識していたとすれば、東芝は巨額の追加原価が存在することを知りつつ0ドルでS&Wを買収したことになる。東芝の経営陣は、その任務に背き、自己保身の利益を図り、東芝に6357億円の損害を加えたのである。東芝の不正会計問題は一気に刑事事件化するであろう。だから東芝は、巨額の追加原価を買収時に認識していたとは口が裂けても言えないのである。2017年6月3日付の『日本経済新聞』は、追加原価の認識をめぐるPwCあらた監査法人と東芝のやり取りを次のように紹介している。
 PwCはWHで巨額損失が突然現れたのは不自然だと主張。「16年12月より以前に認識できた可能性があるのでは」として、東芝に15年12月の買収時まで遡り調査するように主張した。
 東芝は「過去に遡って何度も調査したが、損失認識のタイミングは16年12月で変わらない」と反論。しかし、あらた、PwCはともに「16年12月より以前に損失を認識していないという調査結果を示してほしい」と繰り返し求めた。





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