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2017年8月 7日 (月)

~最近の認知症を取り巻く動向~ ⑥

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認知症グループホームにおいて効率的に口腔衛生管理を進める上で、歯科治療だけで連携を図るのではなく、職員の意識を変えていくことが必要であることが再確認された。なお、実際研修を企画する際には、口腔衛生管理に特化した研修のみならず、認知症介護実践者等養成事業要綱に基づき各都道府県または指定都市が実施主体となって実施する「認知症介護基礎研修」「認知症介護実践者研修」「認知症介護指導者養成研修」等のカリキュラムに口腔衛生管理の要素を含めてもらうことも検討する必要がある。又、認知症高齢者グループホームは居住系の介護施設と比較すると職員数が少ないため、集合型の研修(通常 off the job)には参加しにくいという現実もある。事業所に訪問した歯科医師や歯科衛生士が実施する歯科治療や口腔ケアに立ち会いながら研鑚を積む on the job による研修も積極的に採り入れていく必要がある。
 本事業で得られた知見を踏まえ、歯科とグループホームの連携を後押しするインフラ整備進められることを期待している。
5. 認知症ケアの最近の動向
 国立京都国際会館で開催された第32回国際アルツハイマー病協会(ADI)国際会議が平成29年4月29日に開幕。本会議は認知症とともに暮らす人本人とその家族を中心とした国際会議であり、京都での会議は平成16年に続く、2回目だ。本ADI 会議の最大意義は、多くの認知症当事者が壇上に立ち、自らの経験と、目指す地域社会の姿を訴えたところにある。
 前回の平成16年ADI 会議の当時、認知症当事者として壇上に立ってスピーチをしたのは、今では認知症当事者として多くの著書のあるクリスティーン・ブライデンさんであった。その際クリスティーンさんは多くの当事者の人が政策やケアの決定に参加できるように「リレーのバトンを渡したい」とスピーチし、大きな反響を呼んだ。そしてその想いは日本でも大きな潮流となり、平成29年ADI 会議では国内から多くの当事者が壇上に立ち、地域の課題に言及するとともに社会の変革を提案した。
 クリスティーンさんは1995年発症である。今では症状の進行もあるが、今回の来日で学会を含め国内複数個所で講演し多くの要望に応えた。「混乱の中にいるようだ、前触れもない疲労、混乱が襲う、頭が真っ白で、すべてが破壊しつつある」という不安がありながらも「残された時間は少ないが一瞬一瞬を大切に生きていきたい」と希望を持ってスピーチする。そんなクリスティーンさんは夫であるポール・ブライデンさんを”介護者”ではなく ”私のエネイブラー”と呼んでいる。エネイブラーはenable(可能にさせる)+er(…するもの)、つまり「私が様々なことができるようにしてくれる人」という意味の造語だ。
 認知症の症状があっても適切な手助けがあれば、多くの事を自ら行うことが”できる”。新オレンジプランでは本人・家族の視点が重視された形であり、認知症当事者が地域の課題を提示して、それを活かした政策や仕組みが進められている。認知症の人に”できる”を促す仕組みをつくるプロセス自体が、認知症の人や家族が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう地域社会のあり方であろう。地域の構成員の一つである歯科医院内の仕組みも同様ではないだろうか。





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