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2017年9月22日 (金)

Clinical 歯科における耐性菌を増加させない抗菌療法 ②

  続き:    1.  歯性感染症起炎菌    歯性感染症起炎菌は口腔レンサ球菌(Streptococcus anginosis groupなど)および嫌気性菌 Prevotella 属、  Peptostretococcus 属、Fusobacterium 属およびPorphyromonas 属などである。    歯性感染症は嫌気性菌に感染で二相性感染のパターンをとる。すなわち、好気性菌に感染し嫌気状態が作られ、その後発育してきた嫌気性菌により膿瘍が形成される。炎症が重篤になるに伴い嫌気性菌の検出頻度が高くなる傾向がある。    2.  歯性感染症起炎菌の耐性化    1) 口腔レンサ球菌の耐性化   1980年代中頃まで、口腔レンサ球菌に対するアンビシリンのMIC90は0.05μg/mL以下であったが、2000年にはアンビシリンのMIC90は1.56μg/mLとなった。2000年以降、第3世代のセフェム系薬が相次いで開発され、歯科においてもセフカペンピボキシル、セフジトレンピボキシル( CDTR-PI) などが使用されるようになり、セファクロルの使用量は軽減した。2005年~2016年までの Streptococcus 属のMIC90 はセファレキシン(CEX) 16 μg/mL、セファクロル (CCL) 4μg/mL、セフジトレンピボキシル0.12μg/mL およびアモキシシリン (AMPC) 0.25μg/mL と2000年前後に比べ感受性菌が増加。わが国での抗菌薬の使用量が軽減していることの関連が考えられる。    2) 嫌気性菌の耐性化   歯性感染症由来嫌気性菌で耐性化が顕著なのは Prevotella 属である。Prevotella 属の約30%強がβラクタマーゼヲ産生し、ペニシリン系薬、セフェム系薬および第3世代のセフェム系薬を含むすべてのセフェム系薬を分解する。すなわち、βラクタマーゼ産生 Prevotella 属に対してペニシリン系薬、セフェム系薬は効果を示さない。 Prevotella 属の産生するβラクタマーゼはβラクタマーゼ阻害薬(スルバクタム、クラブラン酸)により阻害される。アンビシリンのMIC90は 32μg/m Lであり、耐性率は33.9%であるが、阻害薬と合剤のスルバクタム/アンビシリンではMIC90は2μg/m Lと耐性を認めない。第3世代のセフェム系注射薬も分解されるため、セウトリアキソンの MIC90 値はアンビシリンと同様であるが注射薬のため、32μg/m L 以上を耐性菌としているので耐性率は4. 1%である。また、嫌気性菌に対して強い抗菌力があったクリンダマイシンも耐性菌が増加し、耐性率は23.1%であった。なお、嫌気性菌用フルオロキノロン系薬のシタフロキサシン系薬のシタフロキサシンは耐性を認めずMIC90 は0.06 μg/m L 以下だった。    3.  欧米の歯性感染症治療 ガイドライン    欧米の歯性感染症治療ガイドラインも歯性感染症=嫌気性菌感染症ととらえて、嫌気性菌に対して抗菌活性の強い薬剤が選択されている。ペニシリン系薬とメトロニダゾール(経口はわが国では適応外)の併用が第一選択となる。米国では急性歯周組織炎に対してペニシリンGカリウムとメトロニダゾールの併用、またはアモキシシリン/クラブラン酸875mg1日2回、またはスルバクタムアンビシリン1.5g、または3 g 1日4回静注、またはクリンダマイシン450m g1日3~4回経口、または600 m g1日3~4回静注である。英国では智歯周囲炎に対してアモキシシリン500 m g1日3回とメトロニダゾールの併用、またはペニシリンアレルギーではクリンダマイシン500 m g1日2回が記載されている。    顎骨周囲の蜂窩織炎ではスルバクタム/アンビシリン 3 gを1日1回静注、免疫不全患者ではカルバペネム系薬が推奨されている。     

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