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2017年9月19日 (火)

Clinical 歯科における耐性菌を増加させない抗菌療法 ①

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金子明寛(東海大医学部外科学系口腔外科教授)さんの臨床研究文をコピー・ペー:
 はじめに
 薬剤耐性(AMR : Antimicrobial resistance)対策を行わなければ、薬剤耐性を起因する死亡者数は増大し、2050年までには全世界で1000万人の死亡が想定されている(2013年は70万人)。これは、近年のがんによる死亡者数である820万人を超えると言われている。
   薬剤耐性(AMR) に起因→死亡者数 : 2013~2050年までには全世界で1000万人を超えると推定
  ◍ 2013年 : AMR起因→死亡者70万人
  ◍ 2050年 : 対策未実施→死亡者1000万人>現在のがん死亡者820万人
  ◍アジア、アフリカの死亡者>欧米の死亡者70万人
 耐性菌と抗菌薬の使用量には密接な関連がある。処方箋なしに抗菌薬が買る国と異なり、わが国の抗菌薬使用量は2000年~10年間で2.5%~4.0%減少し、人口千人当たりの使用量はEUの国々と比較すると、ドイツに次いで低い水準となっている。しかし、耐性菌は増加傾向にある。また、わが国では広域抗菌薬の経口セファロスポリン系薬、フルオロキノロン系薬、マクロライド系薬が多使用され、ペニシリン系薬の使用率が低いことが特徴となっている。
 厚労省は薬剤耐性対策として2015年より薬剤耐性対策アクションプランを立てて、農水産獣医療分野も含めAMR対策を実施して9いる。AMR対策アクションプランでは、ヒトへの抗菌薬使用量を2020年には2013年の33%減、経口セファロスポリン、フルオロキノロンおよびマクロライド薬の50%減、静注抗菌薬の20%減を実施し、MRSAの薬剤耐性率を現状の48%~15%以下、主な細菌の薬剤耐性率を低下させるように求めている。
 薬剤耐性化機構には突然変異、水平遺伝および誘導の3つの機構がある。MRSAのように病原菌が直接薬剤耐性を獲得するだけではなく、常在菌から遺伝子が水平移動し耐性菌になることがある。口腔常在菌の関与では、ペニシリン耐性肺球菌があげられる。1980年代中頃迄、口腔レンサ球菌に対するアンピシリンMIC90(90%の菌の発育を阻止する最小抗菌薬濃度)は0.05μg/mL以下であったが、口腔レンサ球菌のMIC値が上昇し、耐性化傾向を示すとともにペニシリン耐性肺炎球菌の検出頻度が増加した。口腔常在菌 Streptococcus mitis~肺炎球菌に耐性遺伝子が流入し、病原菌である肺炎球菌が耐性化した例である。歯科で使用する抗菌薬は一処方あたりの投与日数は短く、薬剤耐性と関係がないように思われるが、薬剤耐性には常在菌の関与もあり歯科における耐性菌を増やさない抗菌療法を行うことが耐性菌対策全般につながる。
 





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