« 加計学園問題の本質 ⑦ | トップページ | Science i PS細胞研究の現況と将来 ① »

2017年9月 3日 (日)

国連特別報告者を「断罪」する新聞 ③

続き:
 そして、2000年に検定申請にされた4社の教科書から慰安婦記述が消え始め、安倍官房副長官(現在 首相)をはじめ「若手議員の会」のメンバーが関係した、「女性国際戦犯法廷」(2000年12月開催)を取り上げたNHKの特集番組(2001年1月放送)の番組改変に繋がった
 「具体的にどのような事項を取り上げ、どのように記述するかについては、欠陥のない範囲において、教科書発行者の判断に委ねられる、そのうち慰安婦について記述した教科書もある。政府の方針や政策または政治的な意図が介入する余地はない仕組みとなっている」
 「複雑な背景を持つ慰安婦問題を取り上げるか否かは、あくまで教科書会社の判断による。高校の歴史や公民の教科書の多くは、慰安婦問題を扱っている。教科書検定では、日本軍が慰安婦を強制連行したとする記述があれば、修正を求められる。強制連行を示す資料は確認されていないことに照らせば、当然である」
 どちらがケイ報告への政府の反論か分かるだろうか。その答えは、前者だ。後者は読売だ。
 産経の主張は、あるテーマについて口をつぐむ点でも読売と重なる。そのテーマとは、記者クラブ制度。ケイ報告は、記者クラブメンバーでなければ警察の記者会見に参加できず、メンバーだけが非公式に独占的な情報提供を求めることができる現在の状態を指摘しているのだ。これらについてこそ、読売の岡田遼介政治部記者による解説記事「誤認や憶測 一方的な内容」(5月31日)でも触れられていなかった。ケイ報告と政治の反論の内容に同日掲載の要旨を参考にしたが、記者クラブ制度について言及した部分は「(略)」とあった。誤解でも嘘でも無いということ?
 読売社説や産経主張は、「日本の現状をどこまで理解した上でなのか。甚だ疑問だ。日本のメディアや法制度等への理解を欠き、不当な内容が目立つ」とは言えまいか。
 ケイ氏の調査協力を行った藤田早苗氏(英エセックス大学人権センターフェロー)が講演で、政府の情報機関に身辺調査されたことを明かしていた。月刊誌「FACTA」(2016年6月号)が報じていた。国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」の事務局長を務める伊藤和子弁護士らの動向に世耕弘成内閣官房副長官(当時)が関心を寄せ、内閣情報調査室などに監視を指示した、ともその記事には書かれていた。調査内容のメモの一部が永田町に流れたことから分かったという。藤田氏のこともそのメモに記述されていたらしい。メモの真偽ははっきりしていないが、官邸の方針に異議を唱える文科省事務次官の身辺まで監視される時代である。寒々しい出来事だ。
 産経主張は「特別報告者を含め、国連機関の施策などNGO(非政府組織)や市民団体など民間からの要望や情報が反映される例は少なくない。そこに、日本をおとしめる宣伝活動が入り込んでいるのを、放置することはできない」(6月15日)と表明した。こうした国連の調査に協力した人権活動家が、その政府によって弾圧される国があると聞く。それは、6月に成立した共謀罪法(改正組織犯罪処罰法)は、組織的信用棄損・業務妨害、組織的な威力業務妨害も対象になっている。読売・産経が共謀罪に賛成する論陣を張った理由の一つには、ひょっとするとそうした狙いもあったかもしれないのだと思う。この日本にも監視だけでは済まない時代が到来するのだろうか。




« 加計学園問題の本質 ⑦ | トップページ | Science i PS細胞研究の現況と将来 ① »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 国連特別報告者を「断罪」する新聞 ③:

« 加計学園問題の本質 ⑦ | トップページ | Science i PS細胞研究の現況と将来 ① »