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2017年9月13日 (水)

首相官邸は「メディア真空地帯」 ①

神保太郎(ジャーナリスト)さんが『世界9月号』に、掲載している。― コピー・ペー:
 首相官邸はメディアにはどんな存在なのか、「監視の対象」――報道機関であれば当然そうだ。残念ながら現状は「情報をもらう場所」になっている。監視は建前でしかなく、官邸が何をしているのかを国民は知ることができない。権力の中枢「報道真空地帯」なのか。警鐘を発したのはたった一人で政権に反抗する文科省前事務次官・前川喜平氏だった。
 「和泉洋人首相補佐官は「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言う」と獣医学部の新設を急ぐよう言われた」と前川氏に明らかにした。国家戦略特区は内閣府の所掌である。そこに首相補佐官が首を突っ込み、加計学園に獣医学部を認める方向へと行政を捻じ曲げたという。
 「杉田和博官房副長官から呼び出しを受け官邸に行くと「こんなところに出入りしているのか」と注意を受けた」。出会い系バーに出入りした前川氏の「私的な行動」が公安にマークされていた。この一件を後に読売が書き立てる。他の報道機関のインタビューを受けようとしていた時のことだった。読売の記者からtel.があり「記事にするのでコメントがほしい」と言われた。同じころ、和泉補佐官が会って話し合いたいと言えば応じるかとの打診があった、という。「言うことを聞けば嫌な報道は抑えてやる、ということだと思った。和泉さんの話と読売は連動していると感じた」と前川氏は語った。
 首相の執務室がある官邸は、閣議が開かれる国政の中心だ。その陰で、決して表に出ない策謀や介入が繰り広げられている。加計学園疑惑では官房副長官、首相補佐官、内閣官房参与などの肩書を持つ人びとが重要な脇役を演じていた。
 和泉首相補佐官は国交省の出身、政治が絡む官邸案件を舞台裏で取り仕切る人物として霞が関では知られている。メディアに登場することは殆ど無い。「(加計疑惑の)司令塔は和泉さんではないか」と前川氏は記者会見で指摘した。そもそも首相補佐官とはどんな役回りなのか。2014年に国家公務員法が改正され、その職務は「国家として戦略的に推進すべき基本的な施策その他の内閣の重要政策のうち特定のものに係る内閣総理大臣の行う企画及び立案」と定められた。現在は五人で、そのうち三人は政治家。衆院から柴山昌彦氏、河井克行氏、参院から衛藤晟一氏が就く。残る二人は官僚出身。和泉氏は新国立競技場の建設やインドネシアへの新幹線売り込みなどの政治案件を担当する。もう一人は経産省出身(元中小企業庁長官)の長谷川栄一氏。内閣広報官を兼務する。
 官邸というと首相の執務室のある「建物」の印象が強いが、行政組織でもある。正式名称は内閣官房。約1100人が働く政府機関で、それを統括するのが内閣官房長官だ。
 内閣官房は、内閣府と混同されやすい。内閣府は国家戦略特区の所掌など首相直属の政治案件を最近は担っているので、紛らわしい。内閣府は経企庁、総理府、行政管理庁などが合体してできた役所で、文科省や財務省と並ぶ官庁のひとつだ。内閣官房=首相官邸は官庁群の上位に立って行政を束ねる権力機関。内閣府と内閣官房とでは大違いだが、そのことを世間が理解できていないのは、首相官邸が何をしているかを知らされていないからだ。
 そこで問われるのがメディアの役割だ。国民の知る権利を代行するという建前から報道各社は官邸にブースを与えられている。「内閣記者クラブ」に所属するメディアが官邸に陣取って見張りをすることになっている。デスク級をキャップとし、数人の記者が張り付く。首相番記者は執務室に通ずる廊下に待機し、誰が面会に訪れるかをチェックする。閣議の冒頭では写真取材が許され、定刻になると官房長官が会見、質問に答える。官房副長官は懇談に応じ、取材源を明かさないことを条件に情報を提供する。首相は節々で記者会見し政権の方針を述べる。TVやラジオに出演して国民に直接訴えることもする。
 いかにも開かれた官邸だが、これで監視が出来ているか、と問えば、その答えは「No」だろう。





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