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2017年9月18日 (月)

政治の道具と化す警察 ②

続き:
 近年、警察官僚が政治へ急接近する転回点となったのは、橋本龍太郎内閣による省庁再編である。
 橋本首相の肝いりでスタートした行政改革会議は、1997年5月、官邸の危機管理強化策として内閣に危機管理専門官(現内閣危機管理監)の新設を提言した。首相、官房長官両秘書官や内閣情報調査室長(現内閣情報官)に加え、新ポストも警察官僚がに担う。そしてその後、「政治主導」・「官邸主導」の名のもとに、内閣官房や内閣府の組織拡大のため、その人材供給源として国家公務員キャリア組の中でも優秀・そして誉れの高い警察官僚に白羽の矢が立ち、将来の幹部候補生の中堅・若手世代が官邸に次々引き抜かれたのだった。とりわけ民主党政権では、政権担当能力が疑われるほどの混乱と迷走の連続の中で、安倍第一次内閣の首相秘書官を務めた北村滋総括審議官が、局長、次長、長官・総監ポストを飛び越し、内閣情報官として着任。北村氏は徳島県警本部長経験者だが、同県選出の仙谷由人官房長官からの強い要請があったと警察庁幹部から聞いた。また国家公安委員長への就任を拒む女性参院議員を、60年安保世代の弁護士出身議員らが、「警察官僚は優秀だから、彼らに任せておけば大丈夫」と説得したという話もある。
 この間の1999年10月に発覚した神奈川県警本部長ら組織ぐるみの覚せい剤使用もみ消し事件や、新潟・女性長期監禁事件に絡み、警察官僚が飲食や賭けマージャンに興じていた事件など、一連の警察スキャンダルで、キャリア・システムが元凶として、当時の田中節夫警察庁長官が連日国会に引きずり出され、野党のみならず与党からも罵詈雑言を浴びせられた。皮肉なことに、これがトラウマになって政治に「抗う官僚」が消えていった。
 行政官僚化した中堅・若手世代は、捜査の第一線で司法警察官として研鑚を積む”修行”期間を逸した上に、各都道府県警察のノンキャリア組への”顔見せ”や人的ネットワークを築く機会を奪われた。またこの頃からか、MBA(経営学修士)や国際弁護士資格を持った新人キャリアが登場し、日本警察変質の予兆が見えた。
 修行を経ずにきたキャリア組が、四十代になっていきなり地方警察の幹部になっても、捜査指揮どころか、庁内で立ち居振る舞いもわからず、かっては地元の名士の一人に数えあげられた警察本部長ポストも形無しで、今では東京を離れるのを嫌がる傾向がすっかり定着しているようだ。それでなくても、出世コースの”エスカレーター”に一旦乗ると、本庁と警察庁との往復運動を繰り返し、後は警察庁内で、総括審議官―局長―官房長―次長もしくは警視総監―長官へと、”エレベーター”移動。この間は東京に”引きこもり”状態となり、「秩序感覚」は鈍感になるだけで、ノンキャリア組の「捜査感覚」との溝がますます深まるばかりである。





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