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2017年9月 2日 (土)

加計学園問題の本質 ⑥

続き:
 利益相反は組織や集団の目的・利益と顧客や依頼者の利益が矛盾する場合に生じる問題状況、モラル・ジレンマはその問題状況を対処・対応し、どのように矛盾を克服するかが問われる倫理的なジレンマ(板挟み)である。加計問題で言えば、安倍首相の「腹心の友」が理事長の加計学園を優遇し、その特区提案を優先認定することは、京産大の不利益になり、さらには公正公平(中立)であるべき諮問会議の準則と岩盤規制の排除を掲げる国家戦略特区(以下、特区)の基本方針にも反することになる。つまり、諮問会議も議長である安倍首相も、この利益相反関係にあるなかで、加計学園の利益を優先して、京産大の利益を無視して、特区の基本方針にも反則する決定を行い、それを容認したのである。しかも、利益相反関係はモラル・ジレンマを伴うが、国会や記者会見で<関係法令に基づいて進め決めた>とか「一点の曇りもない」と強弁した安倍首相も諮問会議の有識者議員も、モラル・ジレンマへの誠実な対応という責務を放棄し、モラル破壊的に行為したということであり、その責任は重大である。また、加計問題に関わってきた文科省や内閣府の職員は類似のジレンマを抱えて葛藤し、さらには良心を踏みにじられることにもなったであろうと推察されるだけに、この点でも、安倍首相や菅官房長官をはじめ官邸サイドの責任は重大である。
 そもそも諮問会議もその議長である安倍首相も公益としての<「岩盤規制」の適切かつ有効な改革>を進める責務を有している。この公益の実現には、自由な参入機会の保障と、特区審査における中立(公正・公平)性の確保が不可欠である。しかるに、諮問会議と安倍首相は、その二大原則を反故にし、今治市・加計学園の特区提案を優先的に認定し、京都府・京産大の特区提案を排除するというアンフェアな決定を行った。
 近年、政治の舞台では、「李下に冠を正さず」という故事成句を聞くことが増えているが、利益相反状況ではその成句通りに振る舞うことが求められる。科学研究費や学術賞の審査では、利益相反の回避と公正公平な審査を期して、利害関係にある申請や候補者の審査には加わらないというのが慣例となっている。また、利害関係にある申請等の審査にどうしても加わる時の場合、公正公平性と厳正性を損なうことのないように最善を尽くすことが求められる。しかし、加計学園のケースでは、その要件を満たしたとは言えない審議・決定が行われた。
 以上のことは、内閣府や文科省の関係職員にも当てはまる。自ら「忖度」を行い、適正な振る舞いをしなかった職員は言うまでもなく、その不適正な決定や指示に応じざるをえなかった職員も、モラル・ジレンマに陥り悩むことになったと推察される。それにもかかわらず、国会などで、起こってしまった不適正を当該職員のせいにする発言や、たとえ一般論としてであったにしても、<国家公務員法の守秘義務違反に当たる可能性がある>といった発言は、モラル破壊的な言動そのものである。政治や諮問会議の場だけで無く、日常生活でもモラル・ジレンマの状況に直面することは少なくない。それだけに、モラル・ジレンマにセンシティブで無いような政治家や権力・権限保持者の責任は重大であるのだ。





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