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2017年9月 8日 (金)

Science i PS細胞研究の現況と将来 ⑤

続き:
3)血液細胞の作製
  手術などで大量に血液が必要な人に輸血を行う際には、現在は献血によって提供された血液が使われている。しかし、日本のような超高齢社会が進んだ国では、献血をできる人の数が少なくなり、反対に必要としている人の数が多くなってきている。
  また、血液は保存期間が長くない。赤血球では約4℃保存で21日程度、血小板は冷蔵保存が出来ないために保存期間が4日となっており、特に血小板は需要と供給の調整をするのが非常に難しい。また、血小板にはHLA(Human Leukocyte Antigen)型やHPA(Human  Platelet Antigen)型があり、その型をあわせずに何度も移植を繰り返していると、移植した血小板を異物とみなして排除される血小板輸血不応と呼ばれる状態になることもある。そのため、安定的に血液の細胞を作る技術を開発することが望まれている。
  iPS細胞から血小板を作ることが出来れば、十分な数の細胞を確保することができるだけではなく、珍しい型の血小板を確保することも可能になる。
  CiRAの江藤浩之教授らのグループはiPS細胞から血小板を作る研究を中心に進めている。血小板は1回の輸血に2000~3000億個が必要であり、大量に培養する技術の開発が課題であった。血小板へと分化する一つ前段階の細胞として、巨核球の段階で凍結保存を可能とし、より短期間で大量の血小板を作るようになった。また、専用の大型培養装置を開発したことで、すでに1回分の輸血を行うのに十分な血小板を生産する方法はできてきている。他にも、iPS細胞から酸素を運ぶために必要な赤血球や、外敵と戦うリンパ球など、血液の主要な細胞を作ることができるようになってきている。こうした技術は、様々な血液疾患の治療法開発にとっても重要である。




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