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2017年10月14日 (土)

Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ③

続き:
5. 口臭の変動
1)日内変動
 口臭は、生理的な口臭も病的な口臭も、毎日常に一定の濃度で臭うことはなく、絶えず変動する。起床時の口臭は世界共通のもので、morning bresth とかmorning odor などと呼ばれている。つまり朝起きてブラッシングするか朝食をとるまでは、誰でも口臭が認められる。これは、就寝中に唾液の分泌が減り、口腔内細菌が増加することによると考えられる。
 一般的には、一日の口臭の強さのパターン(略)がある。即ち、朝食後しばらく口臭は低下するが、時間とともに増加する。つまり食事をすると、唾液が出て、食事とともに口腔内の剥離上皮や浸出液由来の白血球など、口臭の原因物質を飲み込むことで、一時的に口臭は減る。その後、細菌の増殖とともに口臭強度は高くなる。
 起床(口臭強い)→朝食(減る)→(少しづつ増える)→午前中飲食(減る)→(少し増える)→昼食(減る)→(少し増える)→午後の飲食(減る)→(少しづつ増える)→夕食(減少)→(増えていく)………… 一日の口臭強度の変化である。
2)ストレスと口臭
 口臭が変動する要因の一つとして、ストレスが挙げられる。クレペリン検査や、恐怖映画を見せるなど急な緊張を付加すると、唾液の量は減り、口臭は強くなる。また、若い女性を対象に生理前後の口臭を調べたQueirizらは、生理を不快に感じる群(PMS群)では、生理が始まる数日前から口臭強度が高くなり始めるのに対し、そうでない群(非PMS群)は、生理中では上昇するもののその直前では上昇しないと報告し、ストレスにより口臭が強くなることを示している。
 口臭症患者では、人が近づいてくると緊張するというが、その緊張が原因となって、口臭が普段より強くなっていることが想像される。
 口臭症患者の治療において、不安の解消が必要である理由のひとつである。
3)月経と口臭
 月経と口臭とは関連があるという報告がある。特に歯周病患者では、排卵期にP. intermedia などの歯周病原性細菌が有意に増加し、プロービング時の出血、VSCsや官能検査の値が増加していることが報告されている。ただし歯周組織が健康な人では細菌の変化は認められなかった。これは、ホルモンの変動により、これを栄養源とする P. intermedia が増殖し、口臭を押し上げていることを示している。
4)唾液量と口臭
 口腔乾燥症と口臭には関連があるといわれ、制唾剤を使い人為的に口腔乾燥を誘導した実験では、唾液層の厚さが小さくなるにつれVSCsが増加したことが報告されている。ただし、患者の口が渇くという訴えと口腔乾燥とは必ずしも一致しない。つまり口腔乾燥かどうかの診査が必要。また、唾液分泌を減少させる副作用のある薬物もあり問診が必要。一方、ストレス等により、一時的に唾液量が減ることがあり口臭発生と相関している。器質的な口腔乾燥とストレスなどによる唾液量の減少は、その対処法が異なるので区別する必要――。
5)小児の口臭
 口臭を訴えて親がお子さんを連れてくることがある。小児の口臭のほとんどは、扁桃腺由来のことが多いが、中には、乳歯から永久歯に生え変わる混合歯列期で口腔清掃が不十分な環境との関連も指摘される。





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