« Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ① | トップページ | Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ③ »

2017年10月13日 (金)

Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ②

続き:
2)口臭の発生源
 これは、(1)口腔内からの生理的口臭、(2)歯科・口腔領域の疾患由来、(3)耳鼻咽喉科領域の疾患、(4)内科疾患などが挙げられる。がんや組織の壊死による化膿性疾患はタンパク質を分解するため、いわゆる腐敗臭を生じる。
(1) 口腔内から発生する生理的口臭は、主に唾液成分を原材料として発生する口臭である。唾液や舌から検出されるグラム陽性菌である Solobacterium moorei などが持つβ-ガラクトシダーゼと、強力なタンパク分解酵素であるジンジパインを分泌する Porphyromonas gingivalis などの共同作用により化学的に安定であるムチンが分解されて、VSCsが発生する。唾液の量や質(ムチンの量など)と関連するため、自律神経系の影響を受けることになる。
(2) 歯科・口腔領域の疾患由来の口臭には、歯周病(歯周炎・歯肉炎)、舌苔、粘膜疾患、清掃不良な義歯、多数歯に亘るう蝕、悪性腫瘍などがある。舌苔は消化器疾患などの影響を受け舌乳頭が伸展し、その間隙に剥離上皮、粘膜、細菌、食物残渣が沈着して形成され、口臭の原因となる。
(3) 耳鼻咽喉科領域の疾患として、副鼻腔炎、扁桃腺炎、上気道や中咽頭がん等がある。ほかに扁桃結石、膿栓も列挙されることが多いが、扁桃腺の解剖学的形態から病的疾患とは考えられず、その寄与がどの程度かはよく分かっていない。
(4) 内科疾患由来としては、糖尿病、肝疾患、腎疾患、胃疾患等ある。これらは、血液中の代謝産生物が、鼻腔・肺胞経由で排出され鼻腔・口腔で検出。逆流性食道炎やピロリ菌による胃炎、肝硬変などと口臭との関連が報告されている。また、遺伝的な疾患であるトリメチルアミン尿症がある。
4.  口臭発生のメカニズム
 口腔内には、未同定の細菌を含めると400~600種類の細菌がいるといわれている。これらの口腔内細菌は様々な酵素を分泌し、タンパク質を分解する。口腔内細菌の中でも、グラム陰性嫌気性細菌は、スカトール、硫化水素等を発生。特に、歯周病原細菌の仲間である、Bacteroides、Fusobacterium、Porphyromonas、Peptostreptococcus、Eubacteriun等がその代表格で、歯周病の人で口臭が強い原因となっている。
 嫌気性細菌の有するタンパク分解酵素の働きで、タンパク質が各種アミノ酸に分解されると、アミノ酸のアミノ基(NH2)は脱アミノ反応により、カルボキシ基(COOH)は脱カルボキシ反応により、アンモニアを産生しつつ、硫化水素、酢酸などの各種低級脂肪酸を産生する。特に分子内に硫黄を含有するシステインやメチオニンでは、主たる口臭物質である硫化水素やメチルメルカプタンが産生。
 一方、唾液中のムチンは、コアとなるアミノ酸に糖類が結合し科学的には安定した物質で消化管粘膜を保護する役割を担っている。しかし、グラム陽性菌のβ-ガラクトシダーゼとグラム陰性嫌気性菌が産生するタンパク分解酵素の働きにより、ムチンの糖鎖が外れ、コアとなるアミノ酸が露出すると、グラム陰性細菌のタンパク分解酵素が働き、VSCsが発生する。





« Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ① | トップページ | Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ②:

« Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ① | トップページ | Clinical 口臭と口臭症患者を理解するため ③ »