« Science 歯ブラシを科学する ② | トップページ | Science 歯ブラシを科学する ④ »

2017年10月 6日 (金)

Science 歯ブラシを科学する ③

続き:
4 . 歯ブラシの基本的な物理的特性
1)ヘッドの大きさ
 海外のドラッグストア等で歯ブラシ売り場を見たことがある方は、海外の歯ブラシが日本のに比べて大きいという印象を持っている人も多いのではないだろうか。う蝕予防の先進国である北欧を含む欧米だけでなく、アジア諸国と比べても、日本の歯ブラシはかなり小さい。
 歯ブラシのヘッド部の長さが短いと、舌側部や大臼歯部を磨くときには歯ブラシの操作がしやすくなるが、清掃効率は低下する。そのため、ブラッシング時間が短い人が、ヘッドの小さな歯ブラシに替えることで、磨き残しがかえって増えてしまうことがある。ヘッドの長さはブラッシング時間と口の中での動かしやすさのバランスを考えて選ぶのがよい。なお、歯ブラシのヘッドの長さは大臼歯部への歯ブラシの到達性にはあまり影響しないので、患者自身が、歯ブラシの操作がしにくいと感じていなければ、あえてヘッドの短い歯ブラシを選ぶメリットは少ない。
2)毛丈
 毛丈は、ブラッシング時の感触、小窩裂溝部や歯間部等への毛先の到達性、及び口腔前庭での歯ブラシの動かしやすさなどと関連する。毛の太さや硬さが同一の歯ブラシであっても、毛丈が短いと磨いた感触が硬く感じ、長いと軟らかく感じる。また、毛丈が長いほうが小窩裂溝部や歯間等への毛先の到達性が向上するが、上顎大臼歯部の頬側等のスペースの狭い部位などで歯ブラシの操作がしにくくなることがある。
 子供用の歯ブラシは一般用に比べてヘッドが小さいだけでなく、毛丈も短い。そのため、永久歯列では小さな歯ブラシが好みであっても、大人が子供用の歯ブラシを使用することはあまり推奨しない。
3)毛の硬さと太さ
 家庭用品品質表示法に基づいて歯ブラシのパッケージには毛の硬さは「やわらかめ」「ふつう」「かため」の3種類に区分表示になっている。一般的な歯ブラシにおいて、「ふつう」の硬さの歯ブラシでは、200μm程度の太さのナイロン毛が多く用いられている。そして、これよりも毛の太さが細くなると軟らかく感じ、太くなると硬い感触になる。
 但し、家庭用品品質表示法による毛の硬さの試験法は、毛の長さを7mmに切りそろえた時の単位面積あたりの座屈強度を測定したものである。そのため、毛の硬さの感触の要因となる「毛の長さ」「毛先の形状」等の条件は反映されず、あくまでも、硬さの目安にすぎず、実際の使用感とは異なることがある。
 毛の硬さは、通常の使用では、「ふつう」程度がバランスに優れているので、なにか特別に歯ブラシの毛の硬さへの配慮が必要ない場合には「ふつう」の硬さのものを選ぶとよい。
 細い毛の歯ブラシは細部到達性が高く、弱いブラッシングでも歯間などの細部まで、毛先が到達できることが期待できる。しかしながら、細い毛の歯ブラシは1回のストロークで取り除くことができる歯垢の量が少ないために、「ふつう」の毛に比べて清掃効率が大きく低下する。そのため、細い毛の歯ブラシは、長い時間をかけてブラッシングするには適しているが、ブラッシング時間が短い場合には奨められない。逆に、太く硬い毛の歯ブラシは清掃効率が高いが、歯間等の細部へ毛先が届きにくく、ブラッシング力の応力集中が起き易い。そのため、太い毛の歯ブラシを好んで使っている人には、応力集中による歯肉の損傷等の為害性等に対する注意が必要である。
4)毛先の形状
 毛の太さと同様に毛先の形状は、清掃効率や細部到達性に影響する。市販されている歯ブラシの毛先には、球状毛、ラウンド毛、テーパード毛、スーパーテーパード毛等があり、一般には毛先が細く加工されているほど、細部到達性は高くなり、一方で清掃効率が低下する。
 さらに、毛先の形状はブラッシング時の感触にも影響する。また、歯ブラシの毛先が適切に処理されていない歯ブラシでは歯肉に傷つけ易い。
          4――― その1





« Science 歯ブラシを科学する ② | トップページ | Science 歯ブラシを科学する ④ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Science 歯ブラシを科学する ③:

« Science 歯ブラシを科学する ② | トップページ | Science 歯ブラシを科学する ④ »