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2017年10月11日 (水)

Science 歯ブラシを科学する ⑦

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4) 2種類以上の太さの異なる毛が組み合わされて植毛されている歯ブラシ
 このタイプの歯ブラシにはタフト内で2種類の毛が植毛、2種類の毛がヘッド全体に均等に植毛されているものと、同一タフト内では1種類の太さであるが、タフト間で異なる太さの毛が植毛され、2種類以上の太さの毛が不均一に植毛されているものもある。
 ラウンド毛とスーパーテーパード毛などを組み合わせることで、清掃効率と細部到達性のバランスを図る構造となる。また、細い毛と太い毛が複合されて植毛されていることで、細い毛が太い毛と干渉して、ブラッシング時の細い毛のたわみが少なくなり、歯磨剤の薬用成分などを小窩裂溝や隣接面歯間部等の細部に送達し易くする働きがある。このようなフッ化物の局所送達(LFD : Local Fluoride Delivery )に配慮された歯ブラシは特に、むし歯予防を重視したい人などに推奨できるのである。
5) 大型でヘッドの幅の広い歯ブラシ
 歯ブラシが大きく、ヘッドの幅が広いことで、特に、歯頸部を意識して磨かなくても、歯ブラシの毛先が歯頸部に当たり易くなる。また、刷掃面が広いために、手先を細かく動かすのが苦手な人でもブラッシングストロークがし易くなることも、このタイプの歯ブラシの特徴である。
 そのため、歯頸部を意識したブラッシングスキルの習得が困難な場合には、このタイプの歯ブラシが推奨される。通常のブラッシングストロークでもある程度の歯肉のマッサージ効果を得ることができる。歯ブラシの毛先が歯頸部に当たるよう磨くことが苦手で、歯頸部に磨き残しが多く認められる人などに推奨される。
6. 歯ブラシの選択の目安
 なお、実際には、歯ブラシの選択には、感触やブラッシング力などの要因も考える必要がある。
 これまで使っていた歯ブラシを用いたブラッシング指導後にて、口腔内状態が良好な状態であれば、いずれの歯ブラシを使っていても歯ブラシを変更する必要は無い。しかし、口腔内状態の改善が必要な場合には、歯ブラシの変更を試みるのも一つの目安は、
―― これまで使用していた歯ブラシでのブラッシング指導後の本人のブラッシング時間はが短くて、磨き残し量が多い場合には、①歯ブラシ→大きめで毛丈が不均一タイプ②歯ブラシ→タフト間で毛の太さが異なるタイプ③大型でヘッドの幅の広いタイプ―― 但し指導後に口腔内状態が良好であれば、歯ブラシ変更の必要はない。
 また、歯磨剤を併用することで、より効果的な口腔清掃を勧めることも心掛けていただきたい。とりわけ、う蝕予防にはフッ化物配合歯磨剤の利用が重要である。
 セルフケア指導内容の負担が大きいと日常生活での継続が困難になり易い。そのため、患者の個々の状況に合わせたセルフケア用品を選択することは、セルフケアの負担が軽減され、受容性の高いセルフケア指導の実践に繋がる。さらに楽しみながら行える習慣であれば、日常生活でも継続し易くなり、「日常のセルフケアを楽しくするための歯ブラシ選び」といった視点も重要な要素と考える。また、日常生活に身近な口腔ケア用品を通じての会話は、患者と歯科専門家とのコミュニュケーションを深める有効なツールとなる。
 





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