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2017年11月14日 (火)

Clinical 嚥下食の知識 ⑤

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7. とろみ調整食品の使用
 とろみ調整食品は、「水分」に直接混ぜることで、また「散らばりやすい食物」をまとめるあんかけにすることによって、これらの凝集性を高めたり、嚥下反射およびそれに伴う一連の運動のタイミングを合わせる(移送速度をコントロールする)目的で用いられる。水分ととろみ付けや食物へのとろみあんかけは、一般的にとろみ濃度が高ければ高い程むせが、減り誤嚥が妨げると思われがちであるが、これは大きな間違いである。
 特に神経筋疾患やサルコペニア症などに代表される、アンカー機能や舌根と中咽頭後壁の接触能低下からの嚥下圧生成が不十分な患者においては、とろみの濃度を高めることにより食塊が器官に付着しやすくなって誤嚥を、また食塊の重量が増すことで喉頭侵入した際には窒息を起こし易くなる。
 従ってとろみ調整食品の使用については、頸部聴診法やエコー検査、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査などで適切なとろみ濃度を設定することを勧める。なお近年開発されたとろみ調整食品の中には、濃いとろみを施したにも関わらず、付着性がある程度抑えられるような物が登場した。これらも積極的に試してみたい。
 「水分のとろみ」については、日本摂食嚥下リハビリテーション学会より、段階1(薄いとろみ)、段階2(中間のとろみ)、段階3(濃いとろみ)が発表されている。
8. 食形態ランクアップ
 脳血管障害の急性期~回復期に代表される様な機能が回復していくことが期待できる患者には、目標の嚥下機能を嚥下訓練で十分引き出した上で、慎重に食形態段階を上げる(以下ランクアップ)。ランクアップは、基本一段階ずつとし、少なくとも1~3日間(3~9食)バイタルチェックや適宜精密検査等を行い、健康状態に問題が無ければ、更なるランクアップを検討する。嚥下食変更の判断は医師・歯科医師が行わなければならない。
ただし嚥下食をランクアップした時は、往々にしてむせなどの症状が起こる場合有り。この時危険と思ってただちにランクを元に戻すか、ここを乗り越えればと思ってそのまま食形態を続けるかの決定は重要な分岐点になる。この判断には、当該患者の年齢や障害の種類や程度、予後に加え、患者の訓練意欲、家族の考え、施設の設備やスタッフの対応力等を基にした総合的な解釈を要する。
 安全性が確認しづらい患者に対しては、1食すべてをランクアップするのではなく、例えば主食だけランクアップする。小皿のみランクアップするなど、患者の機能に合わせた段階対応も一案だ。しかしながら多くの病院や施設は集団調理を行っており、個人への特別食をどこまで許容できるかについてはチーム内で打ち合わせが必要。




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