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2017年11月 1日 (水)

Science 保険適用のCAD/CAM用レジンブロックの特徴 ③ー<1>

続き:
4. 曲げ試験による物性評価
 歯科材料の物性評価試験には引張試験、圧縮試験、曲げ試験がある。必ず材料が破壊するので、破壊に対する抵抗力の評価方法としては引張試験が適している。しかし、脆い材料では引張試験を行っている間に試験片をつかんでいる部分が破壊されてしまうために、セラミックスのような脆性材料には使用することは難しい。そのため、引張試験は金属材料の物性評価として広く用いられている。圧縮試験はガムのように大きく変形してもつぶれるだけで壊れない材料では破壊に対する抵抗性を評価できないため、歯科用セメントなどの一部材料の評価方法として用いられている。曲げ試験は試験片を曲げるときに押された反対側に生じる引張応力から、破壊に対する抵抗性を求める方法で、試験方法により、2本の平行な支持棒の上に試験片を置き、その中央部を他の1本の支持棒で圧縮する3点曲げ試験、2本の平行な支持棒の上に試験片を置き、その中央部を他の2本の平行な支持棒で圧縮する4点曲げ試験、円盤状の試験片を円周上に配置した3つのボールの上に配置し、その中央を丸い棒状のもので圧縮する2軸曲げ試験などがある。
 セラミック材料ではこれらのすべての方法で、コンポジットレジンや義歯床用レジンでは3点曲げ試験で評価されることが多い。2軸曲げ試験は電気回路用のシリコンヴェーバ等の脆性材料の物性を評価するため開発されたもので、圧縮する棒の反対側に生じる引張応力から曲げ強さを求めるものである。3点曲げと4点曲げ試験では引張側である下面の隅角の傷の影響を受けやすいのに対し、2軸曲げ試験ではそのような隅角が存在しないため、試験片の作製が簡便である。そのため、セラミックスのような塑性変形をしない脆性材料には適しているが、コンポジットレジンのように塑性変形する材料には適していない。
 現在、コンポジットレジンの規格(JIS 6514-2015 歯科修復用コンポジットレジン)では3点曲げ試験が用いられている。しかし、試験片の寸法は厚さ、幅とも2.0mmで、長さが25.0mmの試験片を用いることになっている。1歯用のCAD/CAM レジン用ブロックの大きさ大きくても18.0mm程度なので、この規格試験に従った試験は行う事が出来ない。セラミックスの規格(JIS 6526:2012 歯科用セラミックス)の3点曲げ試験は支点中心間距離を12.0~10.0mmとして、厚さ1.2~3.0mm、幅 4.0mmで、長さが支点中心間距離より 2.0mm以上長く、支点中心間距離に対する厚
さの比が0.1以下とされている。そこで、セラミックスの規格で最も小さい試験形状である試験片を厚さ1.2mm、幅4.0mmで、長さ14.0mmとし、支点中心間距離を12.0mmとして曲げ試験を行った。
 多くの材料試験では試験片作製後、水中で24時間保管したもので評価している。CAD/CAM用レジンブロックはあらかじめ製作されている材料なので、どのような条件で保管したものを評価すべきか考える必要がある。そこで、まず十分に乾燥した条件、水中で1週間保管した条件とした。水中保管を1週間としたのは吸水試験等で水中保管が1週間であるように、コンポジットレジンの吸水は最初の7日で大きく、その後の変化は少ないことから選択した。
 得られた曲げ強さと曲げ弾性係数の結果が出ている(図ー略)。保険適用CAD/CAM 用レジンの曲げ強さは乾燥状態で 141~242 MPa であったが、水中保管1週間後の値は114~210 MPa に平均で83%に減少した。
                         続く。





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