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2017年11月 7日 (火)

Science 保険適用のCAD/CAM用レジンブロックの特徴 ⑦

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9. CAD/CAM 冠の現状から今後
 当初のCAD/CAM 用レジンブロックは単層であるため、審美的な修復のためにはステイン等で表面着色をする必要があった。そこで、より審美的な対応が出来るように、複数層からなるレジンブロックも市販されている。2層の製品は保険適用が認められているが、3層の製品は保険適用外だ。厚さ1.0mmに切りだした試験片の写真と小臼歯形態に削り出し研磨したものの図(共に略)。
 末瀬らのCAD/CAM 冠の初期の予後調査では12%の不具合が認めれ、脱離があったと報告。従来の金属冠とCAD/CAM 冠では材料自体の強度が異なり、CAD/CAM 冠は切削方法で作製するために従来の鋳造冠と比較すると必ずしも適合性は優れていない。そのため、装着時の接着操作は重要である。
 CAD/CAM 冠の接着に関してはいくつかの報告があるが、接着させる材料を何に絞るかで異なってくる。初期の接着強さを評価した疋田らの報告ではセメントの種類により違いがあることが報告されており、セメントの適切な選択が良好な治療成績には重要。初期の段階ではこれらの点に関する情報が不十分なまま鋳造冠と同様な治療がされていたため、こんな接着強さ結果だったものと思われる。
 調査時期が新しい他の2つの予後報告では再製作率は3%程度であり、鋳造金属冠と同程度とされている。再製作の原因としては1/3が不適合であり、1/3が破折とされて、脱離の割合は再製作の5%程度で少ないとされている。破折については装着時の不適切な扱いによるものが含まれているものの、レジン冠材料の事態の強度が不足しているとの懸念もある。従って、良好な治療成績を得るためには、適切なブロック選択と、接着処理が重要と考えられる。
 2016/04、の保険改正で金属アレルギーを有する患者に限り、硬質レジンジャケット冠とCAD/CAM 冠の大臼歯での保険適用が認められた。今まで金属しか使用できなかった大臼歯部で歯冠色材料の使用が認められたことは画期的だ。硬質レジンジャケット冠については以前より臨床経験があるが、CAD/CAM 冠については開発されてからの期間が短く、大臼歯での適用に関して十分なエビデンスがあるとはいえない。
 CAD/CAM 冠の大臼歯の保険適用を見据えて、歯科材料工業協同組合では独自の規格として「JDMAS 245 : 2017 CAD/CAM 冠用歯科切削加工用レジン材料」を作成し、大臼歯用としての要求事項を定めている。
 この要求事項を満たすとする製品がいくつか準備されていると聞いている。パラジウムの価格高騰により歯科治療に用いる金銀パラジウム合金の使用を減少させることは喫緊の問題と考えられるが、大臼歯への保険適用については適切な材料と支台歯の選択基準が示せるような十分な臨床データを基に議論すべきであると筆者(高橋)は考えている。





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