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2017年11月20日 (月)

トランプ VS.  メディア ⑤

続き:

 次に訪ねたのは、「マザー・ジョーンズ誌」のワシントン支局だった。その支局長デビッド・コーン氏。30年以上、ワシントンで政治取材してきた。米メディアの中で特ダネ記者としての存在。

 実は、ロシア・ゲートにつながる最初のニュースを報じたのも、コーン氏だ。大統領選挙の前の10月31日には次の記事を書いている。

 「マザー・ジョーンズ誌はロシア情報に強いベテランの情報機関関係者のまとめた報告書を入手。それによると、ロシア政府は過去五年間、トランプ氏との関係の開拓に努めてきた。トランプ氏はロシア政府から民主党などの情報を得ることが可能だ。そして、ロシアの情報機関はトランプ氏をモスクワ滞在中に篭絡しており、脅迫することも可能だという」

 コーン氏はロシア・ゲートが本格化する中で、取材指揮と他メディアへの対応とで多忙な時間を過ごしていたが、一時間という条件で対談した。

 まず、ロシア・ゲートの記事を書いた時の事を尋ねた。

 「報告書を書いたのはデビッド・スティールという元英情報機関職員。内容は衝撃的だった。ロシア情報機関がトランプ氏から譲歩を引き出すことが書かれていた。内容の確認は勿論、デビット・スティールという人物についても調べた。彼だけでなく、彼と実際に仕事をしていた米政府の担当者とも話した。その結果、この人物の報告書は信用できると確信を持った。それで記事にすることにした。」

 それが今、大きな問題となるロシア・ゲートの始まりとなるはずだった。しかし、そうはならなかった。他のメディアが黙殺したからだ。

 「残念としか言えない。この国の大統領選挙にロシアの情報機関が影響を与えようとしてきた。その可能性を示唆する内容も含まれており、これは大きな問題だと思ったし、今もその思いは変わらない」

 コーン氏の記事は、選挙後に各社が追いかけ始め、大問題となっていく。トランプ大統領は当選後FBI長官だったコミ―氏からのこの報告書について説明を受けたとされる。これについてCNNが報じ、その報道に怒ったトランプ大統領が当選後最初の記者会見で、質問をしようとしたCNN記者に、「君は、ダメだ。君のところはフェイク・ニュースだから」と言った場面は世界中で報じられた。

 つまり、ロシア・ゲートの口火を切ったのはコーン氏が発掘したニュースだった。コーン支局長以下、マザー・ジョーンズ誌のワシントン支局は総力でトランプ大統領の問題を掘り下げている。その一つに利益相反問題がある。大統領が自身の関わってきたビジネスに絡んで、大統領としての権限を不当に利用することの懸念だ。マザー・ジョーンズ誌はトランプ大統領が国際金融機関などから多額の融資を受けている実態を暴き、今後の大統領としての政策に疑念を示す記事を多数出している。

「我々は選挙前から、トランプ氏の問題を報じ続けてきた。しかし、多くのメディアは選挙前、それらの問題を黙殺した。ロシアの問題も、彼のビジネスも掘り下げなかった。今、主要メディアも大統領個人、娘婿のクシュナーのビジネスの問題、バノン主席戦略官の白人優越主義とのつながりなど、多くの問題を報じている。それらは皆、我々が選挙前から報じてきたことだ」

 基本的に米国のメディアは他社の報道を追従することを厭わない。仮にワシントン・ポスト紙が書いた内容が確認できなくても、「ワシントン・ポスト紙が報じた。我々はまだ単独では確認できていない」という報じ方をする。しかし、それは先行して報道したのが主要メディアの場合であって、マザー・ジョーンズ誌のような非主要メディアが報じた場合は無視されるケースもあるということなのだろう。



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