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2017年11月19日 (日)

トランプ VS.  メディア ④

続き:

 バーンズ記者― ホワイトハウスの取材を経て政治担当のデスクを経験、10年前に上級記者として現場復帰したベテラン記者。現在は最高裁判所を担当。

 バーンズ記者に、現状のメディアとトランプ氏との状況をどう見ているのか尋ねた。

 「深刻な状況であり、残念な状況だ。メディアを信用するな、『フェイク・ニュース』だと言う。それはメディアにとって残念なことだ」

 彼が語り始めたのは、トランプ支持者にはニュースが届いていないという話だった。

 「最近、イスラム教徒の入国制限した大統領令に就いて記事を書いた。大統領令は連邦裁判所で差し止められている。その状況を書いたのだが、読者から、『わからないの?我々はあなたの書いた記事の全てを信用しない。フェイク・ニュースを流すメディアだから』との投書が送られてきた。私の書いた記事のどこがフェイク(偽り)なのか。裁判所の判決が事実と異なるのか?大統領令に就いての記述に間違いがあるのか?そんなことはない。私は大統領令について何の意見も、判断も書いていない。裁判所の判断という事実を報じたものだ。しかし残念ながらこのようなニュースであってもフェイク・ニュースと指摘する人はいる。残念なことだ。これをどう乗り越えるか、私のも答えはない」

 最近、ワシントン・ポスト紙はファクト・チェックに力を入れているのだという。大統領や政府高官の発言をチェックし、事実と異なる時にはそれを紙面で提示―という。

 「ファクト・チェック専門の記者が二人いて、トランプ大統領をはじめ、政治家の発言をモニターしている。発言は事実に基づいているのか、その引用は正しいのか。その結果、トランプ大統領の発言の多くが問題となっている。事実に基づかない発言が多いし、物事を極めて大げさに言うところがある。彼は客観的に見て、事実に無頓着だ。こういう大統領は過去にいなかった」

 ただ、トランプ大統領が「事実に無頓着」だとしても、メディアの側のトランプ大統領への批判はあくまでも事実に基づかないといけないとバーンズ記者は強調した。例えば、トランプ政権は今もって多くの政権幹部が空席になっているという重大問題を抱えている。これについてバーンズ記者はトランプ大統領の主張は正しいと語った。

 「トランプ大統領は、議会が指名した人間を認めないからだと主張しているが、これは事実だ。それは報じる必要がある。私はトランプの発言は事実だと自分の記事に書いたが、読者から『それは関係ない』という批判が寄せられた。私は事実に基づいた報道が必要だと思っている。どちらの側を利することになろうが、事実に基づくことが重要なのだと思う」

 何故トランプ支持者には報道が届かないのか。匿名の情報源に頼った記事が多すぎるのではないか。

 「難しい問題だ。匿名情報を使うことで記事の信憑性が薄まるのは間違いない。しかし、情報源を匿名にする必要性のある場合は多い。ワシントン・ポストでは、匿名情報については、デスクは明確に把握している。情報源を実名にすることで職を失うおそれがあるのかどうかなど、匿名にする理由を明確にする。しかしメディアが安易に匿名情報に頼ることに気を付ける必要があることは否定しない」

 バーンズ記者は、丁寧な説明を続けるしかないと語った。

 「一つには、読者にどれだけ記者が努力しているのかが見えにくい問題もある。私はロシア疑惑を取材する記者を見ているが、彼らがどれだけ努力して情報を入手して、それをどう確認して記事を書いているか見ている。情報源が一人では我々は書かないことにしている。必ず複数の情報源から事実を確認している。私はその場で把握しているので、私は記者の書いている内容に自信を持っているが、それを読者にしっかり説明することができるのか?それは、難しい。ただ、不断の努力で読者の信頼を勝ち得ることしかないのかもしれない」

 私はもう一度、フェイク・ニュースと言っている人、トランプ支持者にどうニュースを伝えるのか問うてみた。バーンズ記者の答えは、驚くほど淡々とした本音だった。

 「それは伝えられないだろう。なるべく多くの人に伝える努力をするしかない。それには、大事なのはやはり、正確であること、それと注意深いことが求められる。間違いが一つでもあれば、それは「それみろ、間違っているじゃないか」となるだろう。可能な限り正確であり、注意深いこと。間違わないこと。これを徹底するしかないだろう。それが読者に伝わると信じる。ただ、それでトランプ支持者にニュースが届くという淡い期待は持っていない」

 トランプ政権下の取材で、会社の経営幹部から記事について何か指摘を受けたり、これは書かないなどと指示をうけたりすることはあるのか。

 「まったくない。もちろん、事実に忠実であれ、公平であれ、中立であれ、というのは常に言われているし、私も言っている。しかし報道内容に就いて何か上から指示が出たということはない」



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