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2017年12月 3日 (日)

弱くて強い植物の話 (1) ③

続き:
 雑草は、他の植物との競争に弱い。そのため、他の植物が、生い茂るような場所には生えることができない。どこにでも生えるように見える雑草だが、意外なことに多くの植物が生える豊かな森の中には生えない。森の環境は、植物が生存するのには最適な場所である。しかし同時に、そこは激しい生存競争の場でもある。そのため、雑草は生えることが出来ないのである。
 そこで、雑草は強い植物が生えることの出来ないような場所を選んで生えている。それが、道端や畑のような特殊の場所なのだ、
 植物が変化する能力は、動物よりも大きい。たとえば、動物は大きい小さいはあっても、体の大きさは種類によって決まっているが、植物は大木になったり、小さな盆栽になったりすることが出来る。この変化する能力のことを「可塑性」という。植物の中でも、雑草は特に可塑性が大きいと言われる。
 同じ種類の雑草であっても、大きい個体は見上げるほどの数mを超える様な大きさに成るのに対して、小さなものは、数cmの個体が花を咲かせるということも珍しくない。
 雑草学者のベーカーは論文「雑草の進化( The evolution of weeds)」の中で「理想的な雑草」の条件として12の項目を挙げているが、その中には次のようなものがある。
 「不良環境下でもいくらかの種子を生産することができる」
 恵まれない条件の中で、ひっそりと花を咲かせる様子は、私たちの雑草のイメージに合うだろう。しかし、ベーカーは理想的な雑草の条件としてこんな項目も挙げるのだ。
 「好適条件下では生育可能な限り、長期に渡って種子を生産する」
 つまり、悪条件でも、好条件であっても、それに見合った種子を生産するというのである。当たり前のように思えるかも知れないが、これは簡単なことではない。たとえば、私たちが栽培する野菜や花壇の花では、生育が悪いと小さなままで花を咲かせないことがある。あるいは、逆に肥料をやり過ぎると茎や葉ばかりが茂って、肝心の花が咲かなかったり、実が少なくなってしまったりする。植物にとってもっとも大切な、種子を残すということわ忘れてしまうかのようである。
 雑草は可塑性が大きい。大きさも自由自在、縦に伸びるも横に伸びるも自由自在だ。雑草が自在に変化できる理由は「変化しないこと」にあると思う。「種子は生産する」という大切なことが変化しない。だからこそ、種子を作るまでの生育は、自在に変化させることができる。そして、踏まれた雑草は立ち上がらないのだ。
 大切なことを見失わない生き方、これこそが本当の雑草魂なのである。




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