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2017年12月20日 (水)

再生医療等安全性確保法 施行3年経過 ②

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 平成29年6月末時点に於ける本法下で提供されている再生医療の実施状況は、第1種再生医療等は17件(治療:0件、研究:17件)、第2種再生医療等は151件(治療:99件、研究:52件)、第3種再生医療等は3,517件(治療:3,462件、研究:55件)である。
 このうち、治療として提供されている第3種再生医療等の多くは歯科領域で提供されている多血小板血漿療法などと考えられ、歯科医療と本法は密接に関係している。
 我が国において提供されている再生医療の実態が明らかになると共に、安全性及び妥当性が確立されていない再生医療が無届で提供されていたりするなど、国内に於いて治療として提供されている再生医療が社会問題となっており、法を順守し安全な医療を提供する意識を持つ事が今後ますます重要となってくる。
 特に本法の今後の課題として、法の運用について医療従事者が共通の認識を持つことがあげられる。再生医療を患者へ提供する際には大きく二つの方法がある。
 一つは、治験を行い、国で承認された再生医療等製品等を用いる方法であり、
 もう一つは医療技術として、本法下で治療として提供する方法である。後者は、本法に従い、安全性および妥当性を検証したうえで提供する必要がある。
 海外に於いて、エビデンスの乏しい細胞治療が各国の規制の枠外で提供されているなか、本法は、再生医療に従事する者に対して、医療技術として提供される再生医療の有効性および安全性を確保する事をもとめているが、歯科領域においては、治療として提供する前に、日本人に対する十分な検証が実施されているとは言い難いのではないだろうか。
 我々は、本法が施行されるに至った経緯を今一度考え、本法下の臨床研究において検証した医療技術を本法下の治療として提供する道筋を築き上げていくべきであろう。
 再生医療はまだ新しい医療技術であるため、安全性を確保するとともに、患者にとっての利益が不利益を上回る医療を提供しなくてはならないが、その為には、基礎研究に裏打ちされた臨床研究に於いて、日本人に対する細胞加工物投与の安全性や評価方法の妥当性等を検証した後に、治療として普及すべきと考える。
 また、この道筋は規制するものではなく、医療従事者の倫理感に基づき行われる文化として行くべきだ。
 これにより、治療の中で生じるクリニカルクエスチョンが、あらたな臨床研究へとフィードバックされ、その流れが治験の促進、ひいては再生医療等製品の創出にも繋がると考えられる。飛躍した意見ではあるが、このようなスパイラルを生み出すために、日本歯科医師会においても、科学的エビデンスを構築するための研究に対する研究助成等に取り組んでいただき、患者にとって有益な歯科医療創出の支援を検討していただきたい。
 最後に、国策として推進する再生医療をいかに適切に提供していくかは、再生医療に携わる者の倫理感が極めて重要だ。
 世界で初めて、二つの再生医療関連法を持つ我が国の責務は大きく、我々歯科医師が再生医療の普及の在り方のロールモデルとなっていかなくてはならない。





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