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2017年12月 9日 (土)

Clinical 口腔感染制御が医科歯科と社会を結ぶ ④

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 症例1と症例2は、糖尿病患者が感染症に併発し易い(易感染性)うえに、血糖値にかかわらず容易に重症化(易重症化)することを示す。また症例3から、慢性歯周炎のような微小炎症であっても、インスリン抵抗性を通じて糖尿病治療に強い抵抗性を示すことが分かる。
 国内外においても、こんな症例が多数報告されており、多くの臨床研究論文も歯周治療により、 HbA 1c が有意に低下することを明らかにしている。これらの研究を踏まえ、日本糖尿病学会は2016年版の糖尿病診療ガイドライン中において、「2型糖尿病では歯周治療により血糖が改善する可能性があり、推奨される」と明記した。
 日本糖尿病学会の動きに合わせるようにして、日本糖尿病協会(糖尿病患者と医療従事者の会:会員数約10万人)が無料で配布している糖尿病連携手帳においても、大改訂がなされた。2016年1月まで、本手帳の歯科記載事項は「検査日・施設名・歯周病重症度分類・次回受診月」の4項目しか存在しなかった。
 しかし、2016年2月の改訂版では「施設名・歯科医師名・検査日・歯周病・口腔清掃・出血・口腔乾燥・咀嚼力・現存歯数・インプラント・義歯・症状・次回受診月・備考」の14項目に大幅に拡充された。――― 眼科医師の記載スペースと同等になったのである。
 そして2016年春、新たな歯科診療報酬として”歯周疾患処置(糖尿病を有する患者に使用する場合)略称 P 処 (糖)”が登場した。従来の歯科診療報酬では、歯周病患者に対して最初から、歯周ポケット内への抗菌剤局所投与を行うことはできなかった。
 しかし、P 処 (糖) の登場により「医科から紹介された糖尿病患者の場合は特例」として、歯周基本治療と併行しながら抗菌療法を最初から併用することが可能になったのである(レセプトに紹介元医療機関名を記載する必要がある)。
 厚労省が、”糖尿病患者の易感染性”に配慮し、早期からの抗菌療法の必要性を認めた。――― 画期的だ。
     ∇糖尿病を有する患者に対して、スケーリング・ルートプレーニング並行して
     歯周疾患処置を行う場合、「P処(糖)」と表示し、初回の年月日および紹介元
     医療機関名を記載する。
          P処(糖) 14点+薬剤費 36点
     ▪ 医科より紹介された糖尿病患者(=易感染性)
     ▪ 歯周ポケット 4mm 以上
     ▪ 歯周治療に併行し1ヶ月抗菌薬を注入
  




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