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2017年12月28日 (木)

インタビュー記事 ⑥

続き:
―― 過去には対話なり交渉なりを通じて進展が見られた時期がありましたが、現状では拉致問題をめぐっては膠着状態が続く一方で、核開発などめぐって日朝関係全体が悪化しています。
蓮池 すでに拉致問題をめぐって率直で成果の期待できる交渉が出来る雰囲気ではなくなっていますね。時間が経過するとともに、事態もますます複雑化しています。米朝だけでではなく、米中、そしてロシアとの関係も複雑にからみあっていて、そのもつれた糸をほぐすのに時間がかかって、拉致問題どころではない、という状態になっています。
 6カ国協議も完全に手詰まりになっている。実は先日、小泉元総理が福井県で講演した際、(拉致被害者で帰国した)地村保志さんに会っています。地村さんが小泉さんに当時のお礼を述べると、小泉さんは「あのときは水面下でいろいろやっていたんだよ」と述べていた。もしも今、安倍政権が、口では圧力だ、制裁だ、と言いながら、水面下で北朝鮮関係者にちゃんと接触しているのだったらいいのですが、それをやっているようにはとても見えません。アメリカですら、トランプ発言の裏で、北朝鮮関係者に接触していることが報道されています。日本政府ももっとしたたかに行動できないものかとおもいますね。
 北朝鮮が核開発をやめる可能性は低いし、安全保障という観点から大きな脅威であることは確かですが、日本政府は必要以上に恐怖を煽っている様にも見えます。この件について弟とも話したのですが、彼は、北朝鮮が国際的に孤立しつつある中では経済制裁に一定の有効性があるのではないかと言っています。追いつめる中で唯一、合法的な金銭的支援を受けられる可能性のある日本との交渉に動くこともありえるという意見です。しかし私は、現在の北朝鮮の姿勢を思うと、そう簡単にいくとはとても思えません。
 私の意見は、核兵器の恐ろしさを身を持って知っている唯一の戦争被爆国として、日本は米朝関係の仲介を担う調停役にまわるべきだということです。日本だからこそできる平和的役割を果たしてほしい。そのように現在の緊張した状況を好転させる努力を誠実に果たす中で、拉致問題の解決をも追及していってほしいのです。このようなことを言うと、「ミサイルが飛んできたらどうする」と必ず言われるのですが、飛ばないようにさせるにはどうするのかを考えることが重要ですし、相手の立場を考えずむやみに圧力をかければかけるほど、ミサイルが飛んでくる可能性は高くないかと思います。
 安倍総理は「地球儀外交」などと言っているようですが、何千キロ先の国々を見る前に、まず自分の身近にある国々との関係改善を行ってもらいたいと思う。
 私の基本的な立場を言えば、拉致問題は対話と交渉によって解決可能だ。という事です。核開発やミサイルの問題も同様と考えていいと思う。安倍政権はミサイル防衛を強化するといって、1基800億円する陸上イージスを複数購入するといいます。関連する人員確保や設備投資も入れたら大変なコストです。陸上イージスだけではありません。北朝鮮の脅威を理由として、安倍政権は軍事費を過去最大にしてるというのですが、根本的に、それでミサイルが飛んできたときに被害が出ないと保障されるわけでは、まったくないわけです。ミサイルが飛んでこないようにするのが、もっとも効果的であり、合理的です。対話にカネはかかりません。アメリカの軍事産業を潤わせることより、もっと意味のある使い方をしてほしい。
 日本ではヘイト・スピーチの問題が解決されておらず、北朝鮮についても攻撃的な物言いをする人が増えているように感じます。これは弟の言い方に影響されたのかもしれませんが、北朝鮮にも多くの一般人たちが毎日の日常を送っているわけで、金正恩氏が2500万人いるわけではありません。「あんな国はアメリカの軍事攻撃でやっつけてしまえ」と簡単に言う人たちは、そこで暮らす人たちのことを考えたことがあるのだろうかと思いますね。
 繰り返しになりますが、関係悪化し、軍事攻撃の可能性まで出てきているような状況では、拉致問題の進展は難しいと思います。 





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