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2017年12月16日 (土)

Science インプラント周囲炎と歯周炎の原因菌をめぐって ⑥

続き:
2) インプラント周囲炎・歯周炎関連細菌叢の解析― ①
 我々は分子遺伝学的手法を用いてインプラント周囲炎と歯周炎に関連する細菌叢の解析を試みることとした。前にも述べたが、インプラント周囲炎と歯周炎の原因菌については、未だ共通した見解が無い。―― 理由は、
 ①複合感染症にもかかわらず、限られた特定の細菌種のみにターゲットを絞って両疾患の細菌種の差異が議論されていたこと
 ②インプラント周囲炎と歯周炎のサンプルの採取された個体が異なるにも関わらず、比較解析において個体差が加味されていなかったこと
 ③各レポートで用いられている細菌検査法が異なることが考えられた。
そこで、研究実施に際しては、同一口腔内にインプラント周囲炎と歯周炎の両疾患を有する被験者のみを 対象に網羅的な細菌叢解析を行うことで、インプラント周囲炎と歯周炎の原因菌をゲノムから採ることとした。
 当教室で最初に行った研究では、16S rDNA クローンライブラリー法により、3名の被験者のインプラント周囲炎と歯周炎部位から採取した歯肉縁下プラーク をサンプルとして網羅的な細菌叢解析を試みた。
 16S rDNA クローンライブラリー法とは、環境中の細菌の16S rDNA 領域を増幅させ、クローニング技術で単離し、DNAシーケンスを行い細菌同定する技術だ。その結果、プラークサンプルから112菌種(インプラント周囲炎群では77菌種、歯周炎群では57菌種)の細菌同定され、そのうちの43%(51菌種)が培養困難な種であった。
 インプラント周囲炎群では P. gingivalis といったような既知の歯周病原細菌の検出頻度は低く、 Parvimonas micra、Peptostreptcoccus stomatis、Pseudoramibacter alactolyticus、Solobacterium moorei などのインプラント周囲炎群でのみに存在する特有の細菌を検出した。
 さらにサンプル数を6名に増やし、同様の手法を用いて解析を進めたところ、インプラント周囲炎細菌叢は種多様性が高い(細菌叢は構成している細菌種が多い)こと、またこの実験においても、Red complex の検出率がインプラント周囲炎だけでなく歯周炎においても低い(P. gingivalis ではインプラント周囲炎( PI )部位に6名中4名、歯周炎(P)部位6名中2名、T. forsythia ではPI 部位6名中2名、P 部位6名中1名、T. denticola では PI 部位6名中3名、 P 部位6名中2名)ことが明らかとなった。 





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