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2017年12月12日 (火)

Science インプラント周囲炎と歯周炎の原因菌をめぐって ②

続き:
1. インプラント周囲炎に対する認識

 1) インプラント周囲炎の位置付け

  欠損補綴に対する予知性の高い治療法として、歯科用インプラントはその認識が高まっているが、一方で失敗例も見られる。インプラント治療の失敗の原因は、①生物学的失敗、②機械的失敗、③医原性の偶発症、④患者の不十分な許容による失敗の4つに分類することができ、このうち①生物学的失敗は、更にオッセオインテグレーション獲得における失敗(early failure) と、オッセイインテグレーションの喪失(late failure) による失敗とに分類。

  インプラント周囲で生じる炎症性疾患であるインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎は、late failure として位置付けられている。インプラント周囲粘膜炎は炎症が周囲粘膜に限局している可逆性の疾患。インプラント周囲炎は炎症が周囲骨に及び、この喪失が生じる非可逆性の疾患。インプラント周囲疾患は歯周病と同様、デンタルプラーク(バイオフィルム)、すなわち細菌感染が主因となり炎症が惹起され、これに様々な要因が関与し歯周病と類似した臨床症状を呈して進行していく。

 2) インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の発症率

  アメリカに於いて2009年~2012年にかけて行われた国民健康栄養調査によると、30歳以上のアメリカ国民のうち、16%が歯周病に罹患しており、さらにその8.9%が重度歯周炎に罹患者だった。一方、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎については、第11回のEuropean Workshop on Periodontology に於いて、患者当たりの罹患率がそれぞれ42.9%、21.7%と報告有り。

  わが国に於いては、日本歯周病学会が主体となりインプラント治療後の多施設実態調査が2012年~2013年にかけて実施された。この研究ではメインテナンスに通院しているコンプライアンスの良い患者が多数含まれていると推測され、インプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の患者当たりの罹患率はそれぞれ33.3%、9.7%と前述の報告より低値ではあるものの、相応の割合でインプラント周囲疾患患者が存在していることが明らかになった。

  近年、歯周炎が全身の健康へも影響することが注目されているのである。病理学的にはインプラント周囲炎では歯周炎と比較してインプラント周囲の骨破壊を伴う感染の進行が早く、それが骨髄に達するものまであることが報告されており、インプラント周囲炎の方が全身へ与える影響が大きい可能性すらあると推測される。

  高齢社会を迎え、インプラントのニーズが高まる一方で、これに対する合併症への対応は緊急の課題であるといえる。






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