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2017年12月14日 (木)

Science インプラント周囲炎と歯周炎の原因菌をめぐって ④

続き:
2) インプラント周囲炎と歯周炎の非類似性
 ただし、細菌に対するインプラントと天然歯の反応が同じとは言い難い部分がある。
 Salvi らは、前述のLoe らが行った実験的歯周炎の研究を、インプラントを対象に実施した。15名の患者を対象に天然歯部位とインプラント埋入部位に3週間ブラッシングを中止させたところ、プラークの蓄積量に差はみとめられなかったものの、インプラント部位では天然歯部位と比べ炎症が起き易く、その治療が遅れる傾向にあったと報告している。また、両疾患に対する治療効果の報告を見ると、歯周炎に対する治療法はほぼ確立され、治療により長期間にわたり良好な経過が期待できる一方で、インプラント周囲炎に対しては必ずしも良好な結果は得られていない。
 de Waal らの報告によると、インプラント周囲炎の治療では、外科処置を実施した場合を含めたとしても治療12か月後の再評価に於いてインプラント体の57%(106/187本)、また患者の67%(48/74名)では良好な結果が得られていない。この治療効果の差に影響するファクターとして、歯根とインプラント体での解剖学的な構造の違い(インプラント体と天然歯の表面性状の差違や歯根膜の有無による宿主の反応)等が考えられているが、炎症のトリガーとなる感染細菌種が違うことを指摘している論文もけっこうな数ある。
 Furst らは部分無歯顎患者にインプラント体と天然歯の表面性状のを埋入した場合、隣接する天然歯と比較して細菌の付着およびコロニー形成過程で認められる細菌に差があると報告。
 また Leonhardt らは細菌培養法を用いた検査において、インプラント周囲炎部位の55%の部位から Staphylococcus spp.、腸内細菌など、通常、天然歯周囲では検出されず、一般に歯周病との関連が報告されていない細菌が検出さてたことを報告。
 さらに Persson らは checkerboard DNA-DNA hy-bridization 法により79菌種を対象としてインプラント周囲炎部位における細菌叢を検索した結果、Red complex の一つである T. forsythia などが検出された一方で、歯周病の原因菌としてはなじみのない、本来は主に胃に生息する Helicobacter pylori なども検出されたこと、また非外科治療6か月後もこれらの細菌の減少は認められなかったことを報告。
 インプラント周囲炎において、既知の歯周病原細菌以外の微生物種が関与している可能性も考えられ、両疾患における原因細菌種についてはいまだ統一した見解が得られていない。





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