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2018年1月 4日 (木)

弱くて強い植物の話 (2) ③

続き:
 植物と人間は親戚同士とはいっても、私たちはずいぶん昔に、その袂を分かってきた。今となっては、植物という生き物は、人間の生き方とはあまりにかけ離れている。どうして植物はこんなにも奇妙な生き方をしているのだろうか。
 奇妙な生物である。「植物」の進化を見ていくことにしよう。
 地球に生命が生まれたのは、38億年前。その頃には、動物と植物の区別は無かった。
 植物が植物たるゆえんは、光合成を行うことにある。つまり、細胞の中に葉緑体があるのである。
 それでは、植物細胞の中の細胞内器官である葉緑体は、どのようにして作られたのだろうか。
 実は、葉緑体は元来、独立した生物であった。これは、マーキュリスが提唱した細胞内共生説だ。葉緑体は、細胞の中に独立したDNAを持ち、自ら増殖していく。そのため、光合成を行う単細胞生物が、他の大きな単細胞生物に取り込まれて、共生していくうちに、細胞内器官となったと考えられている。
 それでは、どのようにして光合成を行う単細胞生物と、大きな単細胞生物との共生が始まったのだろうか。そんな昔のことは、もはや推察するしかない。しかし、現在でもアメーバのような単細胞生物は、餌となる単細胞生物を細胞内に取り込んで、消化する。そのため、最初に大きな単細胞生物が、葉緑体となるバクテリアを取り込んだとしても何ら不思議はないと考えられている。そして、このバクテリアは消化されることなく、その細胞の中で暮らすことになったのだ。
 共に暮らすことで、単細胞生物は、葉緑体となるバクテリアから栄養分をもらうことができるし、取り込まれたバクテリアもまた光合成では作りだせない無機塩等を単細胞生物からもらうことができる。
 こうして、共に利益のある共生関係が作られたのである。
 それにしても、植物細胞も、祖先は活発に動き回り他の生物を捕らえて食べていたことには驚かされる。植物の祖先は動物だったのだ。それが、光合成を行う葉緑体を手に入れたことによって、だんだんと動かなくても良くなったのである。
 細胞内器官として、酸素呼吸をしてエネルギーを生み出すミトコンドリアも、葉緑体と同じ様にして細胞内に取り込まれたと考えられている。ただし、ミトコンドリアは植物細胞だけでなく、動物細胞にもある。つまり、ある単細胞生物がミトコンドリアと先に共生をしていて、その後、一部の細胞が葉緑体となるバクテリアを取り込むことによって動物の祖先と袂を分かち、植物の祖先になったと考えられているのである。





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