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2018年1月 2日 (火)

弱くて強い植物の話 (2) ①

稲垣栄洋(静岡大学農学部教授)さんの研究文をコピー・ペー:
 ”人間と科学”  第283回より
 「どうして植物はうごかないのですか?」そんな質問を、時々受ける。
 実際には、植物もまったく動かないわけではない。花が開閉したりするし、葉の位置を動かしたり、意外と動いている。とはいえ、人間のように、歩き回ったり、走ったりすることはない。どうして植物は動かないのだろうか?
 もし、その答えを植物自身に聞いてみたとしたら、植物はきっとこう答えるだろう。
 「どうして、人間はあんなに動かなければ生きていけないのだろう」。
 光を受けて、土の中に水と養分さえあれば植物は生きていける。だから、植物は動く必要がないし、動かずに生きていろ。動かなくても生きていけるのだとすれば、その方がいいに決まっている。一方、動物はその名の通り動かなければ生きていくことができない不便な生き物である。だから動き回っている。それだけのことなのである。
 人間は、万物の霊長と言われる。そのせいか、人間を基準にして、他の生き物の生き方を見てしまいがちだ。そして、人間に近い生き物を「高等な生き物」として大切にしたり、人間とあまりに違う生き物を「下等な生き物」として、蔑んだりしてしまうのだ。
 しかし、すべての生物がこの世の中を生き抜くように高度な進化を遂げている。たとえば、人間にとって脳は一つしかないものと決まっているが、昆虫は一つではなく、複数の脳を持っていて、足の付け根に配置されているのである。そのため、昆虫は刺激を受けると、素早く行動に移ることができる。ゴキブリを叩こうとスリッパを振り上げると、ゴキブリは空気の振動を察知して、すぐに逃げ出すことができる。人間のように感覚器官で得たすべての情報を腦という高度に発達した情報システムに集めて、判断する方法も、一つの進化の例に過ぎない。もし、ゴキブリが高度な脳を発達させて、逃げるべきか逃げざるべきかと熟考していたら、簡単にスリッパにつぶされてしまうことだろう。





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