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2018年1月 8日 (月)

Science 唾液とドライマウスの知識 ④

続き:
3. 唾液を用いる検査~現状とこれから~
 採取時には侵襲が無く、特殊な器具も不要なことで、歯科臨床で実施されているものは、市販のキットや試薬を用いてチェアサイドで簡単に行うことができる。しかし、正確な検査結果を得て、比較するためには同じ条件で唾液を採取する必要がある。特に、抗生物質の内服による口腔細菌への影響には注意を要する。
 う蝕原性菌・歯周病原菌を調べる場合、抗生物質を使用していると一時的に口腔内細菌の量やバランスが変化していることがあるため、服用を終了してから検査する。
 う蝕、歯周病と口腔清潔度に関する項目を一度に短時間で検査できるシステムも開発され、便利になっている。医療者と患者が検査結果に基づく情報を共有することで、個人に適する治療プランや予防法を立て、その実施後の改善も客観的に示すことができ、モチベーションの維持にも役立つ。
 さらに、検査方法の標準化と結果の基準値を定めることで、血液検査による生活習慣病のリスク判定と同様に、唾液を用いて歯周病やう蝕の発症前リスクを評価し、歯科医療者の介入によって検査値を標準値に戻すという検査を中心とした予防が目指されている。
 <唾液を用いる検査>
■日本で行われている検査
①口の状態の検査:う蝕リスク検査・歯周病関連検査・口腔清潔度検査 
②遺伝子検査:がん、生活習慣病などのリスク評価―個人の特定(DNA鑑定)
③ストレス関連検査:コルチゾール・クロモグラニンA・α-アミラーゼ活性
■海外で行われている、あるいは研究中の検査
①ウイルス感染検査:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染
②全身疾患のスクリーニング:がん
 <唾液を用いる検査の基準値>
■検査項目
◍乳酸脱水素酵素(LDH) (細胞破壊の指標)――350units
◍遊離ヘモグロビン(出血の指標)――2μg/mL
◍ Porphyromonas gingivalis と総細菌数との比率――0.01%
◍ 総レンサ球菌と Streptococcus mutans との比率――0.2~2%
 口腔疾患のみではなく、全身疾患の診断やリスク評価ににも唾液を用いる試みが行われている。糖尿病、がん等多くの疾患は、遺伝的な素因と生活習慣の両者によって発症の有無、時期や程度が決まるといわれている。素因の可能性について、これまで血液で行われていたタンパクや遺伝子等の検査も唾液で実施することが可能になり、多くの企業が参入している。
 また、唾液によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の抗体検出キットも開発され、大腸がん、膵臓がんなどの悪性腫瘍の発見についての検討も国内外で活発に行われている。
 このように唾液は、医療の変革につながる大きな可能性を秘めているのである。

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