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2018年2月10日 (土)

Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ①

橋本正次(東京歯科大学法歯学教授)さんの研究文をコピー・ぺー:
 個人識別とは、それが誰であるか、また誰のものに属するかを明らかにすることであり、この目的に歯科的証拠が有効であることは周知のごとくである。歯科的証拠が災害犠牲者の個人識別に利用されたという報告は、1897年にオスカー・アモエドによってなされている。
 この災害は、同年にパリで発生した火災であり、死者は黒焦げ死体約30体を含む126体であった。これらの被害者のうち、外的所見から識別できないものについて、該当者と思われる人のかかりつけ歯科医師が呼ばれ、生前の歯科記録との比較により識別されたという。そして、オスカー・アモエドは後に「法歯学の父」と呼ばれるようになる。
 わが国の災害において、犠牲者の身元確認に歯科的証拠の有効性が実証されたのは、1985年に発生した日本航空123便墜落事故である。この事故では犠牲者520人のうち、518人が確認され、この中で歯科的証拠が関与した確認数は206人(39.8%)、主たる確認理由が歯科的証拠というのが132人(25.5%) であった。(橋本調べ)。そして、犠牲者の身元確認作業は8月から約4ヵ月続いたが、この間の8月14日から9月28日までのおよそ1ヵ月半に動員された歯科医師数は、延べ1013人と報告されている(日歯広報第730号より)。
 しかしながら、事故が発生した1985年頃には正式に警察歯科医師制度を設けていた歯科医師会はなく、従って参加のほとんどが臨床歯科医師であったと思われる。そして、これを機会に、各県の歯科医師会では現在の警察歯科医制度を設け、地域警察との連携を密にしながら有事に備えるとともに、通常の事件や事故における犠牲者等の身元確認に協力してきたわけである。
 その後、国内では1994年の名古屋における中華航空140便墜落事故や1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震などが発生し、地元の歯科医師会や全国の歯科医師会の会員が被害者の身元確認作業で活躍したことは周知のところである。
 一方、国外でも、2002年のバリ島爆弾テロ事件や2004年のスマトラ沖大地震に伴う津波、2011年のカンタベリー地震、2013年のアルジェリア人質事件などが発生し、これらの被害や事件に巻き込まれた日本人犠牲者の身元確認においても歯科的特徴が利用されている。
 加えて、大規模災害では多数の被災者が避難所生活を余儀なくされる。このような被災者については医科的な医療のみならず、過去においては見過ごされがちであった歯科医療の必要性も考えられるようになった。
 この状況下で、日本歯科医師会は国の機関との間に災害時における協定書を取り交わしている。
 本稿では、まず法歯学と歯科的個人識別について、そして大規模災害犠牲者の身元確認作業と臨床歯科医の関わり方について筆者(橋本)の経験に基づいた考えを述べるとともに、被災者の災害医療についても触れたいと思う。
 なお、大規模災害における歯科的個人識別の手順や実際については既に述べているので、本稿では割愛する。





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