« Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑥ | トップページ | Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑧ »

2018年2月16日 (金)

Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑦

続き:
(2) 外国では
 外国で発生した小規模なテロ事件において、外国人歯科医師が検査した日本人犠牲者の口腔内所見とカルテ上の治療内容を示している図がある(略)。生前、死後の照合から一部相違が見られるものの、同一人の可能性が高いことは十分推察できる。現在検討されていると聞く、歯科記録用紙への記載の統一化も必要であるかもしれないが、それが機能するまで時間がかかるようではいつ発生するかもしれない有事に対応することはできない。
 より現実的な準備を考えることが重要であると思われる。その一つがコンピューターを利用した歯科的ソフトの利用である。
 橋本らは、日本航空123便機墜落事故(1985年)後にこの開発を取り組み、すでにインターネットを利用したシステムを完成させている。(図 略)。
 残念ながら、その後の災害において利用されなかったが、今後もより有効的な照合システムがあれば、研究されるべきであろう。
 カンタベリー地震では、ビル崩壊により日本人を含む200人以上が犠牲となった。その際、ニュージーランド警察から要求されたものは、歯科医師が撮影した口の写真も含めて歯の写っている生前の写真であった。
 そこで、家族や関係者にこの旨をお伝えしたところ、非常に多くの写真を得ることができた。そこで、これらの写真の鮮明化と拡大をし、警察に提出した。
 ニュージーランドの歯科医師によれば、結果として生前のカルテのない多くの犠牲者がこれらの写真により確認されたという。このような方法で確認された事例は日本航空123便墜落事故(1985年)やその他の事件、事故でも多くみられる。
 今後、起こるかもしれない大規模災害においては、このような写真の有効性を考慮し、早期に提供を受けておくことがより迅速に、そして正確に遺体を家族にお返しできることにつながるのではないかと思われる。
 また、この生前写真の収集においては、家族や関係者の多大な協力を得ることができた。このような行動は、明らかに日本人の死体に対する文化的背景が影響しているものと思われる。
その特徴については、日本人の死体に関する考え方
死や死体、事件、事故に対する日本人の考え方
 1 死体に人間性をもたせる。
 2 自分自身で確認したい。
 3 あの世が存在する。
 4 遺体や遺骨が重要である。
 インドネシアで発生した爆弾テロ事件の犠牲者の確認作業における歯科医師の状況をしめしている図(略)もある。これによると、
 外国では、身元確認が優先されるために検視時に下顎骨を切り出すこともある。しかしながら、これは死体も生きている人間と同じように扱う日本人犠牲者の家族にとっては許せない行為になる。
 海外での大規模災害では、現地の警察や法医・法歯学関係者と、日本の文化、特に死や死体対する考え方について十分な打ち合わせが極めて重要であることは、この一つの例をとっても明らかである。また、これは国内における身元確認作業においても同様である。





« Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑥ | トップページ | Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑧ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/413185/72930234

この記事へのトラックバック一覧です: Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑦:

« Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑥ | トップページ | Clinical 大規模災害犠牲者身元確認と臨床歯科医 ⑧ »