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2018年2月19日 (月)

トランプのアメリカに住む <1>―②

続き:
 総じてロシア疑惑が浮上させているのは、2016年の米大統領選挙でのトランプ大統領誕生は、プーチン大統領指揮下のロシアの諜報戦略により周到に支援されていたというストーリーである。このストーリーは、それだけでもう十分にスキャンダラスだが、さらにこれが、一時的な逸脱という以上に大きな変化の一部とみなせるのは、このロシアの諜報上の成功が、今日のインターネットの仕組みに深く支えられていたからである。大統領選挙中、ロシアはトランプ陣営の何人かにアプローチする一方、内部情報をハッキング等のサイバー攻撃により入手、さらに様々な仕方でアメリカのソーシャルメディアにフェイクニュースを流していたとされる。
 米フェイスブック社が検証したところでは、ロシア政府系企業が同サイトに投稿した情報は過去二年間で1億2600万人の米国内ユーザーに届いたという。2016年の大統領選の前後だけでも、ロシア系の疑わしいアカウントからの約8万件の投稿に加えて約3000件の広告が出され、それらは約470のロシア政府との繋がりが疑われるサイトに利用者を誘導していた。それらの多くはアメリカ社会の分断と対立を煽り、結果的にトランプ候補に有利に働くもので、少なくとも、1000万人がアクセスしたとされている。勿論、疑念が生じているのは、フェイスブックだけではない。同社傘下のインスタグラムでは、約2000万人がロシアの関与が疑われる写真投稿を閲覧したと考えられている。さらにグーグルでも、YouTube に疑わしいアカウントから1000本以上の動画が投稿されていたことが確認された。
 これらのメディアでロシアの関与が疑われている広告や投稿は、大統領選で流れていく膨大な量の広告や情報総体からすれば、全体規模では大きなものではない。しかし、ソーシャルメディアは人種や民族、居住地など利用者の特性などに応じて情報を仕分けて届けることが出来るから、一連の情報は激戦州の有権者に集中的に発信されていた可能性がある。『ニューズウィーク』(9月29日)の記事によれば、「大統領選挙前の10日間、激戦州のツイッターユーサーは、通常のニュースを上回る量のフェイクニュース受け取っていた」という。オックスフォード大学の調査が政治や選挙に関連するハッシュタグが付いた2200万件以上の投稿を分析した結果で、「全部で27州の有権者(うち11州が激戦州)が、全米平均をはるかに上回る『ロシアやウィキリークス、でたらめニュースサイト』などのツイートの集中攻撃を浴びていた」というのである。これらの州では、「過激思想や嘘、候補者や政策を嫌悪するように仕向ける意図が明らかなでたらめニュースが、ニュースメディアによる報道を圧倒していた」と。とりわけこうしたフェイクニュースは、激戦の結果、僅かな差でトランプが勝利したペンシルバニアやミシガンなどの州に集中し、結果がもともと明らかだった州では、人口当たりのフェイクニュースの量は、激戦州よりもずっと少なかった。たとえばミシガン州の場合、選挙選終盤で州内のツイッター利用者が共有した情報の26%がフェイクニュースで、この割合は通常のニュースとほぼ同じだった。同州のツイッター利用者は、ほとんど虚構の世界の中で政権の選択をしたことになる。




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