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2018年2月27日 (火)

トランプのアメリカに住む<5>―②

続き:
 しかも、選挙戦のなかでフェイスブックをはじめとするソーシャルメディアが、既存マスメディア以上に選挙民が情報を得ていく中心回路として機能していたことも明らかになった。調査対象全体の23%が、フェイスブックが最も重要なニュース入手元だったと答え、この率はCNNとFOXに次ぐものだった。しかも、全体の47%、半数近い人が毎日数回はフェイスブックのページを訪れると答えていた。
 そして一連の分析を通じ、フェイスブックが最も重要なニュースの入手元だったと答えた人々が、そうでない人々に比べて特異な高くフェイクニュースに影響を受け易い傾向を持っていたことも示された。そうした人々は、平均でも83%の確率でフェイクニュースを本当のことと信じ込んでいたのである。
 ハント・オルコットらは、2016年末から活発化したフェイクニュースとソーシャルメディアをめぐる研究状況を概観し、四つの論点をまとめている。第一に、アメリカでは約62%の成人が、ニュースをマスメディアからではなくソーシャルメディアから得ている。第二に、フェイスブックでは、マスコミで最も関心を集めるニュースよりも、フェイクニュース中心的な話題の方がより広く共有されていた。第三に、フェイクニュースに接した多くの人が、当時はその話を信じたと語っている。第四に、最も人気のあったフェイクニュースは、トランプに有利になる方向で選挙に影響を与えた。
 彼らによれば、これらの観察から、もしもフェイスブックを基盤に展開されたフェイクニュースの影響がなかったなら、トランプが大統領に選ばれたかどうかは疑問だとする論者も出てきている ( Hunt Allcott and Matthew Gentzkow、"Social and Fake News in the 2016 Election"、Journal of Economic Perspectives、Vol.31、No.2、2017)。
 オルコットらはこの議論を検証するために、前述の調査報道を発展させて選挙期間中にネット上に流れていた、156のフェイクニュースを収集し、また1200人の調査対象者の反応を調べている。彼らが論じるように、2000年代初頭からマスメディアに対する信頼度が持続的に低下し、また社会の党派的対立が激化してきたのは、やがてフェイクニュースが爆発的に浸透していくマクロの背景だった。
 そして、参入障壁が極端に低く、情報が短期間で爆発的に拡散し、さらに匿名性が高いITの特性は、長期的に信頼を得ることなどそもそも目的とせず、短期で最大の利益を上げようとする多数の発信者を生む直接の背景となった。
 こうして急増したフェイクニュースが、トランプ大統領の誕生にどれほどまでに決定的であったか結論づけることは困難だが、これらの分析を通じ、誰がどのような理由でフェイクニュースを広め、それを誰が、どれだけ信じていったかはかなり明らかになってきた。




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