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2018年2月 7日 (水)

Science オーラルヘルスに関しての抗菌性洗口液 ⑥

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 口臭の主な原因は、嫌気性菌の歯周病原細菌 Fusobacterium nucleatum などの産生する酪酸などの揮発性脂肪酸と硫化物である。日本大学の落合邦康教授を中心とする研究グループは、 F. nucleatum の産生する酪酸は、免疫抑制作用があり、歯周病の増悪だけでなく、がん発症リスクの可能性があるなど一連の研究成果を発表した。2016年には熊本大学の医学部が、酪酸を産生する歯周病原細菌 F. nucleatum は食道がんに高い割合で見つかることを発表した。
 口臭には様々な要因が関わってくるが、基本的には口腔内細菌を減少させることを凌駕するする予防はない。機械的清掃に加えてのエッセンシャルオイル含有の抗菌性洗口液は、バイオフィルムへの浸透性があり各部位の細菌に抗菌性を発揮して口臭を抑える。
 ヒトとマイクロバイオームとの関係を捉えた研究は、プロバイオティクス戦略が健康増進やアンチエイジングなどの有効であることを鮮明にした。一方、口腔内の1000種類を超える細菌フローラに、善玉菌を選択的に優勢にさせるプロバイオティクス戦略は難しい。また、多くの口腔内細菌は、悪玉菌とコミュニケーションをとってバイオフィルムを形成し、その病原性に加担する。う蝕と歯周病への関与が少ないことから口腔内で善玉菌のように振る舞う Streptococcus sanguinis は、血流に入り込んでバイオフィルムを形成、そして、細菌性心内膜炎、人工関節やステント挿入部の感染症をもたらすことが示されている。
 我が国では人工関節やステント使用者の著しい増加があり、 S.sanguinis などの口腔内細菌全体を減少させる抗菌性洗口液の使用意義は大きい。
 抗微生物製剤の適正使用が求められ、歯科医療においても抗菌薬の使用の制限が加速してきている。抗菌薬に比べて消毒薬に対する耐性菌の出現のない抗菌性洗口液の常用は、口腔内感染症予防だけでなく口腔細菌が引き金になる様々な疾患リスクを下げる。
 我が国の死因の3番目となった肺炎の多くは、唾液、歯肉溝液を主な栄養源にして増殖する口腔内細菌が、睡眠中などに下気道に流れ込むことが原因の不顕性誤嚥である。
 
 筆者(奥田)は厚労省の長寿科学研究に長年携わってきたが、高齢者にとって就寝前の抗菌性洗口液の使用は、簡便で大きな副作用もなく、誤嚥性肺炎予防などに効果がある可能性が高く、金科玉条であることを述べて稿を結ぶこととした。





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