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2018年2月 2日 (金)

Science オーラルヘルスに関しての抗菌性洗口液 ②

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 8020運動が定着し、その成果が健康長寿に貢献しているという評価はあるものの、歯周病の罹患率は高いままである。我が国の死亡原因の3番目になっているのが肺炎だが、そのうちの大部分を占める誤嚥性肺炎の主な病原体は、複数菌種の歯周病原細菌で、その混合感染の歯周病の予防と治療は緊急の課題だ。
 8020推進財団の発行した「健康寿命に役立つエビデンス2016. Vol.  1 No. 1」に、「歯・口の健康と生活習慣病(非感染性疾患;NCDs)」と書かれている。WHO(世界保健機関)の Non-Communicable Diseases ; NCDs についての原文での non-communicable は、非伝播性とするべきであって非感染性と捉えることはできない。
 WHOは、ヒト~ヒトに伝播する疾患ではなく、生活習慣が密接に関わる高血圧や冠状動脈疾患などによる心臓血管疾患、脳卒中、糖尿病、種々のがん、慢性閉塞性肺疾患や肺気腫などの慢性呼吸器疾患、慢性腎臓疾患、腹部肥満、肝硬変、認知症を NCDs としているが、う蝕と歯周病を NCDs として取り上げていない。う蝕と歯周病は生活習慣が密接に関わるものの、明らかな細菌感染症として捉えて、その治療と予防に取り組むべきである。
 医療行為や薬剤が有効と証明される EBM の基盤となるのは、数ランクに分けられる臨床研究である。図(略)に、臨床研究のランク付けのヒエラルキーが示されている。臨床研究のランダム化比較試験 (randomized controlled trial : RCT) は、信頼度が高い。 RCT 研究を中心に臨床試験を集めてデータベース化し、さらに系統的レビュー (systematic review) によって臨床研究の質を評価し、結果を総合した再現性、客観性の高いメタ解析 (meta-analysis) は、最も高い評価がある。少数の比較臨床試験や比較しない臨床試験などの順で信頼と評価は下る。
 1992年、イギリス政府の支援で、各国の研究者が世界中の論文をデータベース化し、EBM レベルを明らかにする解析が広く受け入れられている。提唱者は、イギリスの疫学研究者の Cochrane AL 博士で、コクラン共同計画 (The Cochrane Collaboration) と呼ぶ。コユラン共同計画は、国際 NPO で30,000人を超えるボランティアが参画しており、The Cochrane Database of Systematic Review として常に更新され、年4回発行されるコクラン・ライブラリーに収録され提供されている。コクラン共同計画には Oral Health Group があり、口腔、歯科、顎顔面の疾患や障害の予防、治療、リハビリテーションに関するレビューを発表している。歯科疾患の予防や治療に関して明快な結論しか出せない場合もあるが、曖昧な結論しかないのはなぜなのか記載されており、臨床家ならびに多くの人たちにとって欠かせない情報の提供源となっている。
 8020に関する臨床研究は増加し、査読性 (peer review) のある雑誌で Medline に掲載されているものもある。しかしながら、 RCT研究、系統的レビューとそのメタ解析がなされて、評価の高い雑誌での発表やコクラン共同計画で取り上げてくれるようにしなければ、8020に対して正しい評価を得ることは難しい。





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