弱くて強い植物の話(4) ②
続き:
アブが紫外線の少ない黄色い花を好む一方で、紫外線域を含む紫色の花を好むのがミツバチに代表されるハナバチの仲間だ。
ハナバチは、植物にとって最高のパートナーだ。何しろハナバチは頭が良いので、アブと違ってしっかり目的の花を選んで花粉を運ぶことができる。これは植物にとっては、とても都合が良い。
さらに、ハナバチの仲間はアブに比べると体力があるので、遠くの花まで花粉を運んでくれる。
しかも、ハナバチの代表であるミツバチは女王を中心とした家族社会を形成して、家族のために蜜を集める。ミツバチは忙しく花を飛び回れば、それだけ沢山の花粉が運ばれて、沢山の花に受粉されることになる。
ハナバチは最高のパートナーなのである。
この優秀なパートナーに花粉を運んでもらおうと、多くの植物がハナバチを呼び寄せようとする。こうなると花同士の誘客合戦である。そこで、紫色の花はたっぷり蜜を用意して、自分のところにハナバチを呼び寄せようとするのだ。
ところが問題がある。
豊富に蜜を用意すると、ハナバチだけでなく、他の昆虫も集まってきてしまう。しかし、せっかく用意した密は、パートナーであるハナバチだけに分け与えたい。
どうすれば、ハナバチだけに蜜を与えて、他の昆虫を排除することができるだろうか?
大学はこぞって学生を獲得しようと懸命だが、人気のある大学には、誰でも入れるわけではない。難しい大学試験があるからである。
紫色の花も同じである。実は、紫色の花は、優れたパートナーを選抜するためのテストをしているのだ。紫色の花を見ると、複雑な形をしているものが多い。そして、複雑な花の一番深いところに蜜を隠しているのである。この密にたどりつけるかどうかが、テスト。
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