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2018年3月 4日 (日)

メガ貿易協定の限界 ②―<2>

続き:
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 凍結される20項目のうち、主要なものは「企業と政府の紛争解決」と「知的所有権(医薬品特許)」だ。投資に関しては投資家が相手国政府を提訴できるISDSの規定が中心であり、医薬品特許に関しては、製薬企業が特許権を延長したり新薬の臨床データを独占できる期間を定めた項目だ。
 金融分野では投資財産保護をめぐる政府と企業の仲裁に関する条項、
 電気通信分野では各国の規制当局の決定に対する企業からの不服申し立てに関する条項が凍結となった。
 勿論、ISDS条項全体が凍結されたわけではないが、凍結を要求した国々は投資家や企業から提訴や異議申し立てをされるリスクの最も高い条項を凍結するため妥協を急ぐ日本政府と必死に対峙してきた痕跡が見える。
 ダナン会合では閣僚級での合意が決まった後、カナダが突然態度を変えたため現場は混乱、首脳会議は実現しなかった。日本政府は激怒し、マスメディアもカナダを責め立てているが、カナダの閣僚は会合前から「安易な妥協はしない」と明言しており、またカナダは目下再交渉中のNAFTAとの兼ね合いで拙速な合意を避けなければいけない背景がある。
 実はNAFTAの行方はメキシコに多くの工場を持つ日本の自動車産業への影響が大きく、その意味では日本政府こそNAFTA交渉を慎重に見守るべきところなのだが、強硬に合意を進めた日本政府の姿はカナダと正反対である。
 最終的に、カナダも同意した大筋合意では「継続協議」としてベトナム、マレーシア、ブルネイ、カナダから提案された4項目が挙げられた。「大筋合意」と言いながら、同時に未解決の項目も公表するというあり方も極めて異例だ。
 これについてカナダ政府は「継続審議には時間がかかる」という主旨のコメントを即座に出した。





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