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2018年3月25日 (日)

米朝戦争の危機と日本の針路 ③

続き:
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 爆撃機であれば、機体の周辺で迎撃弾を爆発させ、飛び散る破片によって撃ち落とすことができる。一方、弾道ミサイルの場合には、最終的には普通の5~20倍の速度で落下する小さな弾頭に直接迎撃弾を命中させて破壊しなければならない。
 迎撃システムの処理能力を上回る多くの弾道ミサイルを同時に撃たれた場合には、相当数は迎撃できないと考えなければならない。現状では、弾道ミサイルを100%撃ち落とすことは不可能と言ってよい。
 弾道ミサイルは、防げない兵器であるがゆえに、アメリカのように大規模な打撃力を持たない小国が頼るべき武器となっている。そのミサイルに搭載可能な小型化された核弾頭を持てば、アメリカと敵対する小国は、アメリカに対する抑止力を持つことができると考えている。
 発射された弾道ミサイルを100%防ぎなければ、発射される前に破壊するという発想が生まれる。いわゆる「敵基地攻撃能力」である。この場合の敵基地とは、ミサイル発射間際の移動式発射機を指すことになるが、衛星からの情報で位置を特定できたとしても、こちらが攻撃する巡航ミサイルや戦闘機が到達する間にすでに発射が完了しているだろう。
 また、仮に発射に間に合ったとしても、数百に上る数の発射機すべてをつぶせない以上、残ったミサイルが発射される。敵基地攻撃は、ミサイルを防ぐという目的のためにはあまり意味が無い。
 そればかりでなく、日本が敵基地攻撃能力を保有すれば、周辺国は、それをミサイル発射台専用の攻撃能力とは受け止めない。それは日本が、本来軍事施設向けの弾道ミサイルを、原発や東京に向けられていると受け止めるのと同じことだ。
 その結果、相手はアメリカではなく日本を攻撃対象とする動機を持つことになり、日本の安全保障環境を一層悪化させる副作用がある。
 いずれにせよ、迎撃も発射前の破壊も100%の効果を期待できないために、安倍首相答弁に言うところの「撃たれた場合の報復」が意味を持つことになる。だがそれは、日本に着弾していることを前提とした報復であるから、「ミサイルからの安全」という目的を果たしたことにはならない。
 






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