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2018年3月30日 (金)

ジェントリフィケーションに対抗する「賃貸世代」 ①

続き:
 『氾濫する都市――資本のアーバナイゼーションと都市の再創造』(2013年、邦訳、作品社)の著者であるデヴィッド・ハーヴェイは、ジェントリフィケーションの浸透に対して、新たな都市社会運動に着目して、次の様に語っている。「新しい都市革命に向けて」あるいは「都市における抵抗運動の可能性」というアジェンダについて、「労働基盤の闘争とコミュニティ基盤の闘争との区別は消滅し始めている」、「労働組合運動が組織のより地理的な形態へと移行し、職場だけを基盤にしなくなれば、都市の社会運動と労組との同盟関係はずっと強くなるでしょう」。
 管見では、こうした状況は、すぐれてアメリカの諸都市(ピッツバーグ、ミネアポリス、シアトル、ボストン、サンタフェ、ニューヨークなど)において発現している。そこでは最低賃金とともに家賃、住宅問題の解決にむけての取り組みが、コミュニティ・レベルの活動家によって担われ、移民(ラテン、アジア、アフリカ系)とミレニアム世代に支持された革新的な市長が登場しつつある。
 ニューヨーク市ではブルームバーグ前市長(共和党)に代わって、コミュニティ活動を担う諸団体の支持を受けて当選した民主党のデ・ブラシオが市長(2014年1月~)に就いた。そのアジェンダとして最低賃金の引上げ、家賃規制、規制緩和をする代わりにディベロッパーにアフォーダブル(適正価格)住宅の建設を義務づける強制的・包摂的ゾーニングなどが掲げられている。
 アメリカの都市部に於いてジェントリフィケーションが顕著となったのは、2000年代に入ってからであり、ニューヨークの場合、市全体の平均家賃上昇率は、1990年から2000年まで1.9%にとどまっていたのに対し、2000年~2014年には18.9%も上昇した。都市政策にかかわる調査データを公表しているファーマン・センターは2015年、60の近隣住区を、すでにその大半が高額所得者でしめられている33地区、現在ジェントリフィケーションが進行している15地区、いまだ進行していない7地区に区分し、その状況を報告した。
 ここで紹介するクラウンハイツ(ブルックリン)は、ハーレム、ローワー・イーストサイド、ウィリアムズバーグ、ブッシュウィックなどと共に進行築に該当し、借家人は家賃の上昇と追い出しに直面していた。
 6、70棟のビルの居住者から構成されるクラウンハイツ借家人組合は、当該地区の家主に対抗すべく2012年に結成される。その第1の背景には、ウォールストリート占拠運動に触発された黒人労働者の借家人を組織すべく開催したクラウンハイツ会議にあった。
 第2の契機は、黒人の借家人は労働者でもあり、ニューヨークとブルックリンの労働運動の経験をもっていたことである。SEIU1199(アメリカにおける介護・看護労働者を組織する最大のサービス従業員労組・組合員4万人、SEIU[サービス従業員・国際労働組合、組合員190万人]のは配下にある)や、ホテル労働組合の一部もクラウンハイツ会議に参加していた。その結果、労働組合運動に付随する直接行動と団体交渉は、クラウンハイツ借家人組合の戦略に適用された。因みに、2013年にニューヨークでファースト・フード労働者の怠業運動として開始された最低賃金・時給15ドルの要求は、急速に全国レベルにまで広まったが、その背後にも、SEIUの支持があった。





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