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2018年3月 7日 (水)

メガ貿易協定の限界 ⑤

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 この様に世界の貿易体制は、WTOを継続しつつも2国間FTAとメガ協定が複雑に重なっている。TPP 11は不完全な状態でいったん収束しようとしているが、おそらく今後形を変えていくだろう。
 年内に最終合意をするとされる日・EU経済連携協定についても、ISDSや個人データ保護問題など日本とEUの間での対立点は解決しておらず、それらを切り離しての合意となる可能性は高い。
 RCEPでも日本や韓国など先進国の求める投資自由化や電子商取引などのルールを途上国が受け入れず2018年以降も交渉は続く見込みだ。米国とEUのTTIP交渉は中断したまま再開は不明である。
 2010年以降、「WTOの次の貿易レジーム」として称賛されたメガFTAだが、先進国の推進派が求めてきた「完璧な状態」で発効しているメガ協定は現時点で存在しない。しかし重要な点は、貿易協定は混乱・混沌としている中にあっても、世界のビジネス界は自らの有利に働くような「ルールの書き換え」を着実に実行しようとしているということだ。
 現在、世界で最も注目される成長産業はデジタル経済とデジタル市場である。グローバル企業はここで熾烈な覇権争いを行っている。デジタル経済とはすなわち、インターネットが世界中に行き渡り、ネットショッピングやコンテンツ購入を行う世界であり、医療や労働などあらゆる分野での情報技術の展開である。
 こうした産業にとって重要な貿易や投資のルールとは、電子商取引や個人データの自由な移転、モノを運ぶ国際流通、投資の自由化、知的所有権のさらなる強化である。これらはすなわち、現在のメガ協定の中でも、最も、対立の起きている分野だ。
 そしてデジタル経済においては、国家によるいかなる規制もビジネスの障壁となり、企業の側は取り除きたいと考えている。ISDSのような投資家保護はもちろん必須のアイテムである。
 数あるメガ協定は、単体で存在しているわけではない。1つの協定で確定したルールは別の協定の「フォーマット」としてコぺピされ、世界中に広げられる。最終的には「「メガFTAで高めたルールをWTOに移植する」ことが自由貿易推進者の基本的な方向性だ。
 TPP 11の経済規模も効果も米国離脱で格段に縮小したがこのような流れの中で、今回大筋合意をしたTPP 11の持つ有害性は際立っている。
 凍結項目はあるものの、いったん参加国が合意した協定内容は他の貿易協定にも適用させられていくだろう。





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