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2018年3月23日 (金)

米朝戦争の危機と日本の針路 ①

柳澤協二(国際地政学研究所理事長)さんはこう考えている。― コピー・ペー:
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 2017年は、北朝鮮の核・ミサイル開発に翻弄された1年だった。北朝鮮への圧力外交が手詰まり感を深める中、世界が対話を求めている一方、当事者であるアメリカ政府の姿勢は混乱の様相を深めている。
 日本では昨年、政府のJアラートに合わせて堅固な建物への避難が推奨され、各地で訓練が行われてきた。国民の中には、戦争への不安と共に、展望が見えない状況に対し、早くこの「生殺し」のような閉塞感から解放されたい心情が募っているように思われる。
 戦後70年を経て、日本人が初めて戦争の不安を実感している。本当に戦争は避けられないのか、最も必要なのは恐れることではなく、実態を知ることではないだろうか。
 不安という心理は、心配すべきことが何であるのか、その実態と、対処の仕方がわからないから生じる。不安から解放されたいという欲求は理性を押しのけ、シンプルな解答を要求する。だがシンプルな解答は、人生の経験にてらせば、ほとんどの場合、間違っている。
 日本人の不安は、北朝鮮からミサイルが飛んで来ることへの恐怖から生まれている。北朝鮮からミサイルが飛んで来たらどうなるのか。政府が奨励するように「堅固な建物」に逃げ込むにしても、それは都市部にしかない。地方の人はどうするのか、野良仕事をしていたら、高速道路を走っていたら、新幹線に乗っていたら、逃げようがない。
 「それならいっそ、北朝鮮をやっつけてしまえ」というシンプルな解答が出てくる。「やっつける」とはどういうことか。それは、まぎれもなく戦争ということだ。だが、戦争は、容易なことではない。敵も抵抗するのだから、少なくとも、こちらもやられることを覚悟しなければならない。戦争の不安を払拭するために「やっつけてしまえ」と考えるのは、答えになっていない。
 政府は、アメリカとの政治的・軍事的一体化で圧力を強化し、戦争になった場合に備えてミサイル防衛体制の増強と敵基地攻撃能力を持った新たな巡航ミサイルの導入を始めている。それが抑止力となって戦争を起こさせないことにつながるという考えがあるからだ。
 確かに北朝鮮の能力は、1993年にNPT(核拡散防止条約)からの脱退宣言して核開発を公言した当時と比べて格段に進化している。当時、アメリカは武力行使を検討していたと言われているが、日本にとっては「周辺事態」であって、日本に直接の脅威を及ぼすものとは認識されなかった。
 1998年に中距離ミサイル・テポドンを発射して以来、北朝鮮のミサイルは日本全土を射程に収めている。2006年10月の核実験を皮切りに核開発を進めた結果、核弾頭も実戦で使用可能な段階に入ったといわれている。北朝鮮の目的が何であれ、日本に到達する核ミサイルを持つことになった。
 そこで、こうした「力」には「力」で対抗しなければならないという発想が生まれてくる。この発想に立てば、北朝鮮の能力が向上すればするほど、こちらも力を増強しなければならない。
 ミサイルの恐怖があるからミサイル防衛や、敵基地攻撃能力をもって対抗する。相手はさらにミサイルを増強する。だが、その相互作用の繰り返しによって、ミサイルの恐怖が除去されることはない。日本人の戦争への不安は続いていく。
 「北朝鮮がミサイルを発射した場合、(アメリカと共にミサイル防衛を行うが)、万一撃ち漏らした場合に報復するのはアメリカである。それを確実なものと相手が認識しなければ、冒険主義に走るおそれがある」。
 安倍晋三首相は、昨年2月14日の衆議院予算委員会でこのような趣旨の答弁をしている。
 ここで述べられていることは、報復の抑止力の考え方である。すなわち、首相は、ミサイル防衛システムによる迎撃が万全でないことを前提として、日本に着弾すればアメリカが報復として北朝鮮を攻撃する。それによって北朝鮮が滅亡することになるから、そのアメリカの報復が確実であると認識をする限り、
 北朝鮮があえて日本を攻撃することはないだろう。という論理である。
 この論理が成立するためには、2つの「確からしさ」がカギとなる。第1に、アメリカが報復する意志あること、第2に、北朝鮮がそれを恐れて攻撃しないと判断すること、だ。確かに、現状ではこれらは確からしいと言えるだろう。だがいずれも、日本以外の当事者の意志に関わることであるから、日本の決心によって左右されることではない。その確からしさに一点の「ゆらぎ」もないのだろうか。





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