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2018年3月15日 (木)

Science 「メタボ」と「ぺリオ」 ④

続き:
1)口腔内の病原微生物(細菌)の優勢度をどう表現するか?
 これに関しては、我々はすでに優れたツールを手に入れている。(唾液検査の流れ― 図略)歯周ポケットや唾液中の歯周病原細菌検査だ。歯の個々の部位局所の歯周ポケット内の細菌叢の状態は治療の必要度の評価につながり、治療計画の立案や修正に用いられる。一方、唾液中の歯周病原細菌の状態は口腔内の状態の総合評価として、歯科健診などの際の歯周病患者のスクリーニングに広く応用されている。
 ●唾液検査の流れ
  唾液は非侵襲かつ無痛で採取でき、採取場所もチェアーサイドである必要はない。検査会社へ試料をを郵送して、ラボでの解析後、解析結果を得る。
 ●唾液の利用法
  唾液中には成分として、バイオフィルム(細菌性プラーク)、ケミカルメディエーター、食物残渣、血液、上皮細胞、GCF成分が存在する。検索対象には、サイトカイン、酵素成分(AST、LDHなど)・微生物(歯周病原細菌)・血液細胞(好中球赤血球)・遺伝子(DNA)
=上皮細胞などを検索する。それによって、口腔内全体の病態の有無(スクリーニング)―― わかるもの 炎症マーカーの存在、病原微生物、免疫力、歯周疾患発症の感受性。
 治療計画立案、場合によっては早期診断に利用できる。
 ●歯周病原細菌の検査サービスの例
  いくつかの会社が唾液における数菌種のう蝕や歯周病原細菌の検査サービスを実施している。これに基づき、う蝕や歯周病の罹患リスクが判定される。
 ◆唾液中の歯周病マーカー
  唾液検査から歯周病原細菌の比率や炎症マーカーの値を知ることができる。
 ◍歯周病原細菌数・総細菌数との比率:プラーク形成量と関連
 ◍遊離ヘモグロビン(f-Hb):潜血と関連
 ◍乳酸脱水素酵素(LDH):細胞が傷害されると逸脱
 ◍AST(GOT):細胞が傷害されると逸脱
 ◍ALT(GPT);細胞が傷害されると逸脱
 ◍アルカリホスファターゼ(ALP):炎症や骨疾患で上昇
 ◆唾液成分における健常者と軽度歯周炎患者を区別する基準値と感度・特異度例
これらの検索対象を用いて集団検診等での歯周炎患者のスクリーニングも可能である。
検索対象   基準値      感度     特異度
P.g       945(copy/tube)  0.53            0.53
T.f                135000             0.40            0.44
A.a                32.5                 0.60            0.60
P.I                 22500              0.51            0.51
f-Hb              0.5(U/L)           0.35            0.76
LDH              352                  0.59            0.51
AST(GOT)     45.5                  0.51            0.53
ALT(GPT)      18.5                 0.53            0.59
ALP              8.5                   0.50            0.57
n=978
そして歯周病を持たない健常者と歯周病患者では唾液中の細菌叢が大きく異なり、重症度に応じて総細菌数や歯周病原細菌の比率、炎症マーカーの値などが高まることが知られている。唾液は非侵襲かつどこでも採取が可能な試料で、検査会社に外注することでう蝕と歯周病原細菌の状態が結果として得られることから、歯周病のリスク判定にも用いられている。これらは、医科においては唾液誤嚥による誤嚥性肺炎対策の必要性にもつながり、理解しやすい概念である。
 また病原菌の感染や免疫力の程度などを血清抗体価から捉える方法も、医科では臨床検査として一般的な方法である。歯周病検査としても、歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価を感染度の「指標」として捉える、「血漿抗体価測定を用いた歯周病細菌感染度の測定システム」が開発されている。
 これは、自分で指先からわずかな血液(指尖血)を採取し、付属のキットで血清を分離し検査会社に郵送するだけで、歯周病原細菌である Porphyromonas gingvalis (P.g) 菌の血清抗体価を検出・定量が可能で、そこから歯周病菌の感染状態と歯周病の活動度(炎症の状態)のレベルを把握しようとするものである。
 歯周病の重篤度や治療後の治癒状態がP.g菌に対する IgG抗体価と有位に相関するため、歯周病の状態の情報提供として有用である。





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