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2018年3月18日 (日)

Science 「メタボ」と「ぺリオ」 ⑦

続き:
 多職種連携の中心にいるのは患者本人である。前述したようにこの一般の人達においても、歯周病やペリオドンタルメディシンの概念は、様々なメディアの健康記事や番組等により浸透しつつある。
 しかし、まだこの歯周病という病気を「密かに忍び寄る身近な危険」として捉えている人々は少ないと考えられる。現在の日本人の歯周病の罹患状況(有病率)を見ても、決して大きく歯周病予防、早期治療に向けて意識がシフトしているようには思えない。
 一方、「メタボ」。この3文字を知らない人はどのくらいいるだろうか?
 すでに私達の健康問題を考える上で一つの国民病(?) キーワードである。診断基準があいまいで不完全、基準値の根拠がきちんと説明されていないなどの問題はいくつかあるが、
 正式名称はメタボリックシンドローム (Metabolic Syndrome) で、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)の状態に加え、①高血糖、②高血圧、③脂質異常症の中の2つ以上の症状を伴う状態を指し、代謝症候群とも呼ばれている。
 これは以前、「死の四重奏」、「シンドロームX」、「インスリン抵抗性症候群」、「マルチブルリスクファクター症候群」、「内臓脂肪症候群」などと呼称されてきたものだが、それらの難解な病名を統合整理して、メタボリックシンドロームと名付け、略称まで生まれたことがその概念の急速な浸透に弾みを付けている。
 今やメタボリックシンドロームが多くの全身疾患の引き金となり、その連鎖の果てに到達するのが「死に至る病」であることは医療関係者だけでなく一般の方々も理解していると思われる。なぜならそれを日常会話で「メタボ」と略し、太り過ぎの揶揄、食べ過ぎの代名詞、運動不足への警鐘など、様々な局面で使用している人達も、その3文字の裏側には、その先に訪れる様々な疾患に対する畏怖が明らかに含まれている。常に体重、BMI (Body Mass Index)、ウエスト径、体脂肪率や欧米型の食生活を気にしたり、適度な運動を心がけたりする動機には、明らかにメタボへの対策がある。
 一方歯周病予防に関しては、まだまだ自分にとって喫緊の課題とは捉えにくいらしい。歯科臨床従事者間でその対策を考える際に常に出てくる話題は、メタボと同じような覚えやすく分かりやすいキーワード提唱の必要性である。そして候補として出るのが「Periodontal Disease : 歯周病」、「Periodotal medicine : ペリオドンタルメディシン:歯周医学」、これらの先頭を取った「ぺリオ」の3文字だ。
 この語彙には、ぺリオの「予防」、「対策」、「注意」、「健診」、「受診」などが包含される。「フロスか死か」よりは警告性が少ないが、「今日は歯みがきをさぼった」、「歯みがきの際に出血する」、「口臭が気になる」、「口の中が渇く、ネバネバする」、などの口腔に関する様々な事象がぺリオに結びつくことが浸透すれば、そこで疾患に対する”気付き”が生まれ、疾患対応に向かう動機となる。
 今後さらにペリオドンタルメディシンに関する研究が進み、ぺリオと全身疾患、ぺリオとメタボ、そしてぺリオと健康寿命との関連がより明確になっていくと、このぺリオは、「ペリオシンドローム : Periodontal Disease Syndrome 」とその対策をも象徴する3文字へと進化するだろう。そしてその追い風に乗り、多職種と協働してペリオシンドロームによるドミノ倒しを阻止する環境作りをすることが今後の我々の大きな課題である。
 様々な疾患を抱えた患者を中心に据えた多職種連携において、いまだに共通言語不足により、手をつなげるべき部分に所々ミッシングリンクが存在している。誤嚥性肺炎予防に口腔健康管理が必須であるという共通概念が生まれ、医科と歯科だけでなく、多くの職種が手を取り合って対策が実践されているように、その他の死に至る多くの疾患のリスク削減に必須の共通言語として、「メタボ」と同じく「ぺリオ」の3文字が、医療現場はもとより、広く一般の方々にも浸透することを願う。





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