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2018年3月22日 (木)

嚥下内視鏡検査 (VE) の役割とピットフォール ②

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◎病態診断に基づく嚥下障害への対応
 VE検査では、誤嚥がある場合には嚥下器官あるいは嚥下運動にどのような問題があるから誤嚥するのか、嚥下障害の程度はどのくらいか。そしてどうすれば誤嚥を減らすことができるのかについての判断が求められる。
 経口摂取の可否の判断にVE検査が重要であることは間違いないが、誤嚥の有無や嚥下後の食塊残留のみがポイントではない。誤嚥がある程度強くても、誤嚥物の喀出力が良好であれば経口摂取を必ずしも禁止する必要は無い。
 筆者(兵頭)らはVE検査所見に基づく経口摂取の可否の判断基準を提唱しているので、参考にしていただければ幸いである。
 また、治療の基本である嚥下訓練法の選択にもVE検査参考になる。嚥下器官の感覚機能が低下していれば、咽頭寒冷刺激法や嚥下訓練食の味や温度の調整が有用であるし、運動機能が低下していれば嚥下関連器官の筋力増強訓練や代償嚥下法の獲得を目指す必要がある。
◎検査時の注意点とVE検査の限界
 嚥下障害は嚥下器官の感覚機能や運動機能の障害に起因することが多いが、時に下咽頭癌や食道癌、頸椎骨棘増殖症などの器質的病変が原因となることもある。
 特に悪性腫瘍の見逃しは重大な結果を招くことになる。腫瘍による下咽頭や頸部食道の通過障害があると、梨状陥凹などには唾液貯留が多くなり、同部の観察困難になることもある。検査時にはこのことも念頭に置いた注意深い観察が必要である。
 また、検査時には実際に検査食を嚥下させて誤嚥の有無や嚥下後の残留度などを観察する。すなわち、検査には誤嚥を伴うリスクがある。このため、検査に際しては誤嚥物を吸引するための準備が必要。少量の着色水であれば誤嚥による窒息や誤嚥性肺炎発症のリスクはほとんどないが、いきなり多くの検査食を嚥下させたり、喀出しにくい固形物を嚥下させたりすることは避けなければならない。
 VE検査は主として咽頭・喉頭などを観察できるにとどまる。口腔期や食道期の詳細な評価は困難であり、さらに咽頭期においても喉頭挙上や食道入口部開大の評価は難しい。
 これらの評価には嚥下造影検査 (Videofluorography : VF 検査)が必要である。VE検査は嚥下の一つの側面をみる検査であり、その結果に応じてVF検査の必要性を適宜判断することが求められる。
◎嚥下障害診療における歯科医師への期待
 嚥下障害診療は医療ニーズが拡大しており、初期対応においては歯科医師や耳鼻咽喉科医師などの役割が大きい。一方で、嚥下障害は単に嚥下器官である口腔、咽頭、喉頭などの局所の問題にとどまらず、全身疾患を含めた原因診断、気道管理や栄養管理、嚥下訓練や外科的治療など多方面の対応が必要ある。
 歯科医師の先生方には、関連する医科診療科との連携体制を構築していただいたうえで、初期対応を積極的に推進していただくことを期待したい。




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