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2018年4月10日 (火)

弱くて強い植物の話 (5) ③

続き:
 イネ科植物の工夫はそれだけではない。
 実は、イネ科植物の葉は固くて食べにくいだけでなく、殆ど栄養が無い。しかし、草食動物にしてみれが、この固くて栄養の無いイネ科植物を食べていかなければ、草原で生きていくことができない。そのため、ウシは4つの胃で草を発酵させて栄養分を得たり、ウマは長い盲腸を発達させて植物繊維を分解している。
 人類もまた、草原で発達を遂げたとされている。
 草食動物は、イネ科植物を餌にするように進化を遂げたものの、固くて栄養源の低いイネ科植物は、人類にとって食料にすることのできない役に立たない植物であった。人類は火を使うことはできるが、何しろイネ科植物の葉は固くて、煮ても焼いても食べることができないのだ。
 ところが、イネ科植物の種子は、人類にとって重要な食糧となった。現在でも、麦類やイネ、トウモロコシなどイネ科植物の種子は重要な食糧となっている。
 植物の種子は炭水化物、脂質、たんぱく質など、様々な栄養分を含むが、イネ科植物は主に炭水化物を蓄積している。この炭水化物は、種子が発芽をするためのエネルギーを生み出す栄養分である。
 脂質やたんぱく質と比較して炭水化物は、植物にとっては作りやすく、すぐに使えるという利点がある。そのため、過酷な環境に発達したイネ科植物は好んで炭水化物を種子に蓄えている。そして、この炭水化物こそが、人類にとって、重量な食糧となったのである。
 ただし、種子は地面にばらまかれるので食糧としてては利用しにくい。ところが人類は、種子が落ちない「被脱粒性」の突然変異の株を発見した。そして、ついにイネ科植物の種子を食糧とすることを可能にするのである。
 この被脱粒性の種子を増やせば、安定した食糧を得ることができる。さらに、種子は保存ができるから、食べ切れなくなれば、翌年に利用することができる。こうして、イネ科植物の種子は「富」となった。食べ切ることのできない食糧と異なり、「富」には限界がない。こうして人類は、富のために労働を強いられるようになった。そして、富は権力となり、貧富の差を生み、人々は富を求めて争い合うようになった。こうして、人類は「人類」となっていったのである。





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