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2018年4月 3日 (火)

追い出しと雇用不安に直面する「賃貸世代」 ②

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 保守党のもとで実質賃金の低下、不安定で安い支払の仕事の拡大に歯止めが掛からないことの影響は、特に「賃貸世代」に波及、かれらを居住不安へと押しやっている。
 2014/10/31付の「ガーディアン」紙は「ゼロ・アワー契約の労働者が大家主に追い出される」というタイトルで、ある借家人が約1000戸を管理している家主に退去通告を受けた記事を掲載していた。
 週当たりの労働時間数が保証されず、就労時間に応じて給与をもらうゼロ・アワー契約は、小売り、レストラン、レジャー産業、ホテル、ケア産業など200万人の労働者に広まっている。ここでの家主の言い分は「保障された賃金をもたない借家人を受け入れることは困難」というものだった。これを受けて全国家主協会の代表も、「可能な限りリスクを小さくすると言う観点から、変動する収入に依拠するゼロ・アワー契約の借家人に、家主は不安を抱くのであろう」と述べていた。
 以上に対し、ナショナルセンターである労働組合会議(TUC)の書記長であるオグラディ女史は、「不安定就労の急速な拡大により、ますます多くの人が家主と住宅ローンの貸手に拒否されている。政府はイギリスにおける雇用回復を声高に宣伝しているが、その主張を屋根をもつことができないゼロ・アワー契約の人たちに聞かせたいものだ」と語っている。
 オグラディ女史は、別の記事(「ガーディアン」2017/02/14、付、)で、10人に1人が不安定雇用(ゼロ・アワー契約と自己雇用)となっている状況に対し、次の様に主張している。
「多くの人々が組合に入ることが重要だ。労働組合が組織化されている職場の従業員は、通常の2倍は良い支払いと、保障された契約が担保されている」。
 とはいえ、UKにおける労働組合員数は、最盛期(1979年)の1320万人から2015年度の620万人へと減少している。しかも、2016年に保守党のもとで労働組合の活動に対する規制強化のための法律(労働組合法)が施行された。これについては約100名の労使関係研究者が反対署名し、「組合の団体交渉力のさらなる低下を招き、労働市場を増々低賃金に陥れ、非組合労働者の雇用条件を不安定化させる」と指摘していた。





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